Ifside
ガチャ…バタン
歩き慣れた階段を降り
りうらのため、少し早歩きで帰ろうとしたその時
会社の入口から、声を掛けられた
『まろちゃん』って
♢
初兎side
数時間前、まろちゃんの職場に着いた
本当はいち早くりうちゃんの元に駆けつけたかった
でも、あいにく僕は
今りうちゃんが何処にいるのか分からない
勢いであの家を出てきたはいいものの、
思い返せば僕はりうちゃんについて何も知らない
自分の無力さに腹が立つ
まろちゃんなら、
りうちゃんが何処にいるのか知っているかも
まろちゃんなら、
僕の話を聞いてくれるかも
まろちゃんなら、
まろちゃんなら
まろちゃん…
まろちゃんに睨まれる
当然だ
メンバーを裏切ったんだから
僕は、何を甘えていたんだろう
"まろちゃんなら"
そう言い聞かせて、結局自分を守ってる
僕は何がしたい?
僕は何が出来る?
何をしに来た?
何を………
『しまった』
そう思って急いで口を塞ぐ
こんな薄っぺらいことを言いに来たんじゃない
こんな…こんなはずじゃ……!
どうして?
なんで、上手くいかないの?
あの時も失敗、
今も失敗、
いつもいつもいつも、失敗してばっかり
なんで……
まろちゃんがカバンから缶ジュースを出した
その時のまろちゃんの目は、
少し、 潤んでいた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。