第6話

音駒高校
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2025/06/09 10:25 更新
あなた「行ってきます」










学校のローファーを履いてつま先をトントンと地面に落として、バッグを右手に持つ。


その際に忘れ物がないかどうか確認する。









正直、さっきの許婚の話で気分が良くなく、気持ちが倦怠しているが、


学校にいる方が楽なので行く気分が失せると言うより早く行きたい気持ちでいる。


まあ外の空気を少し吸えば、この気持ちも晴れることだろう。







そう思いながら後ろを確認すればいつものようにお母さんがすぐそこに立っていた。

















母「気をつけてね、ピアノのお稽古もちゃんと行くのよ。今日は17時からだからね。」



あなた「うん。大丈夫わかってるよ。」








こうやって行く前にはお母さんが必ず玄関まで来て見送ってくれる事になっている。


最近はただ習い事をちゃんとこなすようにと言われてるようにしか聞こえなくなってきたが…。













まあそれも自分のせいか。


中学の時、1度だけ友達と時間を忘れて話していたら遅れてしまったことがあったから。



そこからというもの、学校に行く前に確認されるようになった。







でもお母さんはお父さんより優しいから、いつもなにか頼む時はお母さんに言うようにしている。


たまにお父さんに伝わってしまうけど。


























母「学校楽しんで」


あなた「うん、お母さんたちも会食楽しんでね」






楽しむとはよく分からないが、


私もそう言って私は玄関の取っ手に手をかけた。






































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学校は行きの時だけ自分の足で登校する。




元々これ自体もダメだったけど、行きも帰りも迎えに来るとか恥ずかしくて、お父さんにお願いし続けてようやく大丈夫になった。



それもついこないだの話…
















自分で登校するようになってからは、


いつも歩いてる時に、周りの女の子を見てしまう。









そして思う、スカート短くしてていいなぁと。


私は膝下で靴下も長めだからそういう子を見かけると少し羨ましく感じる。





俗に言うギャルと言われている子達まで短くしたい訳では無いけど、私だって女子高生だ、せめて膝上くらいにはしたい。





でもこれも見つかったらだいぶ面倒なことになるのでやらないようにしている。




変な人に誘拐されたらどうするんだとか、盗撮されたらどうするんだとか。







確かに嫌だけど…


少しくらい許してくれたっていいのに…







結局外の空気を吸って気分がマシになると思ったが、日々の溜まった不満は溢れるばかりだった。











































??「あなたちゃん、!おはよう!」













そんなことしか考えられない頭に嫌気がさしながらも


後ろから駆け足で寄ってくる音と、わたしを呼ぶ声が聞こえた。

























あなた「あ、さえちゃんおはよう」



さえ「おはよう!」








後ろから声をかけてくれたのは、同じクラスメイトの竹下さえちゃんという子だった。



この子は新しいクラスになって初めて声をかけてくれた子で、とっても優しい子。



最近は休み時間やお昼休憩のとき、移動教室で一緒に行動している。




おっとりしていて、一緒に居やすい。








時々家庭の事情も相談することが出来るほどには仲良くなれた高校唯一のお友達。





















さえ「どうしたの?また考え事、?」


あなた「ううん大丈夫だよ」





さえちゃんはいつも私が元気なさそうにしている時にありがたいことにそう聞いてくれる。







でもいくら仲良くなったとはいえ、許婚のことだけは言わないようにしている。


それについて話すのはびっくりさせてしまうと思うから。



そして気を使わせてしまったら悪いし…























さえ「そうならいいんだけど、何かあったらすぐ言ってね」


あなた「うん、いつもありがとう」













『何かあったらすぐに言ってね』



これもいつも私と話す時に言ってくれる。




この言葉が私にとってすごく救われる言葉だったりするんだ。













































































学校に着いて、外履きから上履きに履き替える時





さえ「あ、あなたちゃんってさ、音駒高校って知ってる??」





さえちゃんが何かを思い出したかのようにそう言った。






















音駒高校…



ここからなかなか近いところにあるご近所学校だった気がする。



確か受験の時、どこの私立を受けるかで名前が上がっていた。

































あなた「あーうんすぐそこの高校だよね…?名前は知ってるよ」




さえ「今日私たちの高校の男子バレー部が音駒高校の男子バレー部と練習試合するんだってっ」




あなた「そうなんだ、、?」













男子バレー部か…


よく知らない部活だ。


部活自体に入ってない私にはなんとも消して関わることのない無縁の部活だろう。























さえ「音駒って結構すごい大会に出場している高校だから私見てみたいなと思ってるんだけど、あなたちゃんが良ければ放課後もし良かったら行かない、?」




あなた「放課後…?」




さえ「おうちの事情もあると思うから全然無理しないでいいよ」








凄い大会って……

音駒高校ってそんなにバレー部強いんだ、初めて知った。













あなた「それって何時から、?」



さえ「14時30分だって!」



















『今日は17時からピアノだからね。』








17時…



まあ、それまでだったら大丈夫かな。



しかも今日は5限と6限は委員会入ってる人達だけがあるから


入ってない人達は4限で終わりだし















あなた「今日、習い事入ってて、それまでだったら多分…」


さえ「ほんとに!!?」


あなた「うん」


さえ「じゃあ放課後一緒に体育館行こうねっ」












ピアノの教室も家から近いし恐らく大丈夫だろう。


後で一条さんに16時30分頃に来て欲しいと伝えよう。

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