第8話

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2026/04/08 07:28 更新
—— 半年後。

(なまえ)
あなた
嘘でしょ!?



思わず、声が漏れる。

手元のスマホに表示された文字。

——当選。

MAZZELのLIVE。

しかも—

(なまえ)
あなた
アリーナ、3列目……!?


震える手で、もう一度確認する。

何回見ても、変わらない。

(なまえ)
あなた
……ヤバいんだけど


心臓が、一気にうるさくなる。




꒰ঌ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈໒꒱



当日。

会場に入った瞬間、空気が違った。

重低音が響くフロア。
高まっていく歓声。

ペンライトの光が揺れて、
非日常の世界に引き込まれていく。

(なまえ)
あなた
……すごい


席に座ると、ステージが近すぎて

鼓動が速くなる……



でも、それ以上に……



——いるんだ、ここに——


ちゃんと、“現実”として。





照明が落ちる。

一瞬の静寂。



そして

音が、爆発する。

ステージに現れた瞬間

歓声が一気に上がる。




その中に、

すぐに見つけた。


TAKUTO


ライトに照らされて、

まるで別人みたいに輝いている。



激しいビートに合わせて、

身体がしなやかに動く。

キレのあるダンス。

一切ブレない軸。

(なまえ)
あなた
カッコイイ

思わず漏れる。

普段の柔らかい雰囲気とは違う。

完全に“ステージの人”。





曲が進むにつれて、

どんどん引き込まれていく。

しなやかで、時に鋭くて、

そして

時々、息をのむほどセクシーで……

(なまえ)
あなた
あんなの反則でしょ?


思わず呟く。

一瞬の仕草、視線、間。

全部が計算されてるみたいに完璧で。

でも、どこか自然で。


知ってるはずの人なのに、

知らない一面ばかり見せられる。






ゆっくりとしたイントロが流れ

ステージの空気が変わる。



この曲……



I’m yours, You’re mine



ステージ中央に並ぶのは、

KAIRYUとRAN

そして、その隣に立つ たっくん。


さっきまでとは違う、

柔らかくて、甘い空気。

歌い始めた瞬間、

空気が一気に変わる。

優しくて、包み込むような声。

まっすぐに届いてくる。

(なまえ)
あなた
ヤバい、無理……


胸が締め付けられる。


この曲。

この歌詞。

知ってるはずなのに

今、ここで聴くと、全然違う。


たっくんのパート……



その瞬間、

ふと、視線が動いた。

(なまえ)
あなた
え……?


一瞬。

目が、合った気がした。

いや、違う。

気のせい。

そう思ったのに、そのまま

まっすぐ、こっちを見た。

優しくて、

でもどこか、愛おしそうな目。

夜に見てきた、あの表情と同じ。


……ッ


心臓が止まりそうになる。



TAKUTO
TAKUTO
♬ねぇ 今から会いたい
ねぇ わがままが止まらない


そのまま目を逸らさずに。

まるで、

“たった一人”に向けるみたいに。

TAKUTO
TAKUTO
♬もう少し聞かせてよ Baby
全部を僕にちょうだい


声が出ない。

動けない。

ただ、見つめることしかできない。

だって……

あの目は、

あの距離は、

あの表情は……

知ってる。


何度も、見てきた。

ぬくもりの中で。

すぐ隣で。


(なまえ)
あなた
……うそ


小さく呟く。

でも、目の前にいるのは

確かに現実の彼で。

ステージの上で輝いてる、存在で。

触れられるはずのない距離なのに。

それでも。

確かに、繋がった気がした。

ぬくもりも。

香りも。

全部。

消えてなかった……

(なまえ)
あなた
えッ?


もう一度、目が合う。

今度は、はっきりと。

そして、ほんの少しだけ

ニヤッと笑った気がした……










ぬくもりの、そのあとに残るもの。

それはきっと、

“消えない想い”だった。

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