布団で横になって数十分。
廊下がいつも以上にうるさかった。
「ゆーじーぃ!!静かにせんかぁ!」
助じぃの怒鳴り声もいつも以上に頭に響く。
部屋のドアをいきなり開けてきた悠仁を横になりながら睨みつける。
悠仁に背中を向け、窓際の方に体を向ける。
体を向けた方に悠仁が添い寝する形でこちらに顔を覗かせに来る。
布団に顔を埋め、目を閉じて悠仁が居なくなるのを待った。
まだ居座るつもりなのかしつこく話しかけてくる。
布団をめくり、悠仁に被せる。
痛みを我慢して部屋から出るとリビングに向かう。
リビングでは倭助がお茶を飲みながら、新聞を読んでいた。皿には焼き芋が山のように重なって並べてある。
さっき悠仁が言いかけてたのはこのことだったのか。
焼き芋·····好きだけど、今はそんな気分じゃないなぁ。
元気な時に食べたかった·····。
「ソファで横になっとけ。カイロいるか?腹温めれば少しは楽になるんじゃろ。」
「薬は飲んだか?いつもキツイなら早めに飲めって言ってるじゃろ。」
ソファに横になり目を瞑る。
しばらくすると体に布が触れたのを感じ、目を開け顔を向けると悠仁がソファに掛かっていたブランケットを体に被せていた。
「温かい飲み物準備してやれ。腹や腰を冷やさないよう暖かくさせて、安静にさせとけば落ち着く。」
「何年愛莉の面倒見てると思っとるんじゃ。毎月1回は横になっている姿を見てれば対応も分かるじゃろ。」
台所に向かった悠仁の足音に、愛莉は静かに目を瞑る。
頭痛が酷い。目を瞑るとこめかみを殴られてるかのようにズキズキと頭に響く。
腰の痛みはまだ我慢出来るけど、お腹はキツイ。
「悠仁ー。
棚の3段目の右から2番目の引き出しから「愛莉の薬」と書いてある箱を持ってきてくれ。」
「悠仁ももう覚えたな。わしが居なくなっても愛莉のフォローに入れよ。」
元気のない弱々しい声で愛莉がソファから顔を覗かせる。
「居なくならんよ。ずっとお前達のそばにおるよ。」
悠仁から薬と水をもらって飲むと横になっていると、いつの間にか寝ていた。
目が覚めた時には幾分マシになっていて、夕飯を悠仁と助じぃが作ってくれていた。
それから、お皿に並んでいた焼き芋も夕飯のおやつとして食べた。
本調子じゃないけど、2人のおかげでいつもより気持ちが楽になれた。
高専の談話室のイスに座り、机に突っ伏していた野薔薇の背中をさする。
愛莉は説明に困り、せめて悠仁にだけでもと合図を送ろうと身振り手振りをして伝えようと悠仁に近づく。
愛莉の方に視線を向けると、思いのほか早めに気づいた悠仁に少し驚いた愛莉が小さく頷く。
悠仁が猛ダッシュで談話室を出て行った。
悟に近づき、愛莉が小さな声で呟く。
激しく走ってきた音と共に悠仁が片手に飲み物持って帰ってきた。
悠仁からホッカイロを受け取り、お腹に当て、愛莉が背中に貼るタイプをつける。
悠仁と恵が出ていき、愛莉は野薔薇の付き添いで隣を歩く。
その横で悟がしみじみと感動していた。
悟を無視して、2人も談話室から出て行った。

























編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。