第8話

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2024/04/20 09:00
んで,まぁ質問コーナーも終わり.


2時間目,3時間目,4時間目と時間はあっという間に過ぎていき.


お昼休憩の時間になった.


早速,義父とうさんが作ってくれた弁当箱を取り出し,蓋を開けた.


美味しそー……ッッッ!


幸せな気持ちになりながら弁当に手をつけようと箸を握ると同時に,教室の扉前に女子生徒が集まり始めた.


……なんか嫌な予感.

及川徹.
あっ,いたいた……あなたの下の名前ちゃーん!
及川あなたの下の名前.
……

フラグ回収が早すぎる.

及川徹.
一緒に昼ご飯食べない!?
及川あなたの下の名前.
帰れ
及川あなたの下の名前.
出ていけfuck off
及川徹.
ええっ,辛辣ゥッ!!
岩泉一.
何騒いでんだ,目当ての子はいたのか……って,あなたの下の名前じゃねぇか
及川あなたの下の名前.
岩泉さん,今すぐにコイツをクラスに連れ戻してください
及川徹.
岩泉一.
ああ,わかった
及川徹.
及川あなたの下の名前.
早く帰ってくださいマジで
及川あなたの下の名前.
学校で話しかけないでください

そう言いながら,ピシャリと扉を閉め,自分の席に戻って弁当を食べ始めた.


……うまっ.

京谷賢太郎.
……おい
京谷賢太郎.
お前,及川アイツと知り合いなのか?
及川あなたの下の名前.
……いや,知らない人
京谷賢太郎.
学校で話しかけるな,ってことは……学校以外で出会うってことだろ
及川あなたの下の名前.
……

この人,鋭いなッッッ!!?


……まぁ応える義理は無いし,無視しておこう.

京谷賢太郎.
おい,応えろ
及川あなたの下の名前.
……嫌です
京谷賢太郎.
あ゙?
及川あなたの下の名前.
応える義理はありませんし,言ったところで現状が変わったりする訳でもないので

なんで再婚したんだか…… .


……まぁ,母さんの“心に空いた穴”を埋めてくれる人だから,だろうけど.


私にその役割は務まらなかった.


支えてあげたかったなぁ…… .


あの父親ゴミカスの呪縛から離れられた私を,母さんを.


それでも,やっぱり愛おしいと思っていた相手から貰えなくなった分の愛を……埋めてあげたかった.

及川あなたの下の名前.
……

黙々と弁当を食べ続ける.


教室には,ただただ沈黙が流れていた.


その視線は私に注がれている気がしてならなかった.

✧• ───── ✾ ───── •✧

結局,学校も終了した.


早めに家に帰ろうと思ったが……その前にケーキ屋に寄ることに.


……あ,ショートケーキある,これにしよ.

及川あなたの下の名前.
すみませ……
.
店員さん……
.
……あっ,すみません
及川あなたの下の名前.
いっ,いえ!
及川あなたの下の名前.
こちらこそ……お先にどうぞ
.
いや,僕の方が後だったので……
及川あなたの下の名前.
……それじゃあ,御言葉に甘えて
及川あなたの下の名前.
ショートケーキ4つください
及川あなたの下の名前.
……あと,苺のタルトも4つ

……にしても,この人……高身長だな.


服装的には高校生だけど……高3だろうか.


にしても,ケーキが好きなのかな……なんだか意外に見える.


そう思いながらも袋を受け取って,店を出た.

.
ごめんツッキー,遅くなっちゃって……
.
さっきの人,誰?知り合い?
.
別に……注文が被っただけだから

そんな,少し楽しげな会話が店の中から聞こえてきた.


それを背に,私は家へと向かって歩いていく.

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