んで,まぁ質問コーナーも終わり.
2時間目,3時間目,4時間目と時間はあっという間に過ぎていき.
お昼休憩の時間になった.
早速,義父さんが作ってくれた弁当箱を取り出し,蓋を開けた.
美味しそー……ッッッ!✨
幸せな気持ちになりながら弁当に手をつけようと箸を握ると同時に,教室の扉前に女子生徒が集まり始めた.
……なんか嫌な予感.
フラグ回収が早すぎる.
そう言いながら,ピシャリと扉を閉め,自分の席に戻って弁当を食べ始めた.
……うまっ.
この人,鋭いなッッッ!!?
……まぁ応える義理は無いし,無視しておこう.
なんで再婚したんだか…… .
……まぁ,母さんの“心に空いた穴”を埋めてくれる人だから,だろうけど.
私にその役割は務まらなかった.
支えてあげたかったなぁ…… .
あの父親の呪縛から離れられた私を,母さんを.
それでも,やっぱり愛おしいと思っていた相手から貰えなくなった分の愛を……埋めてあげたかった.
黙々と弁当を食べ続ける.
教室には,ただただ沈黙が流れていた.
その視線は私に注がれている気がしてならなかった.
✧• ───── ✾ ───── •✧
結局,学校も終了した.
早めに家に帰ろうと思ったが……その前にケーキ屋に寄ることに.
……あ,ショートケーキある,これにしよ.
……にしても,この人……高身長だな.
服装的には高校生だけど……高3だろうか.
にしても,ケーキが好きなのかな……なんだか意外に見える.
そう思いながらも袋を受け取って,店を出た.
そんな,少し楽しげな会話が店の中から聞こえてきた.
それを背に,私は家へと向かって歩いていく.
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。