ちいかわは、森を歩いていた。手紙が送られてこないことは分かっていた。でも行かなければいけないような気がしたのだ。
誰かのかすかな声のようなものが聞こえた。ちいかわはその音とのほうへと向かった。
ちいかわが目にしたものは、ちいかわと同じぐらいの大きさの人のようなものだった。しかし、からだが薄くなっていた。
そっと体にふれてみると、それは波紋のように広がっていった。
すると、その子は
…大丈夫…
寒い冬の夜のことだった。まだ幼かったちいかわは、辛いことがあったのか、一人うずくまっていた。
悲しかった日。
辛くて眠れなかった日。
泣いていることしかできなかった日。
そんなとき、ちいかわは、いつも一人うずくまって泣いているのだった。
…大丈夫だよ…
君が、君のことを大好きになれるように。
その"いつか"のちいかわは、昔自分がうずくまって泣いているのを思い出して、その自分に向けて小さな手紙を送っていたのだった。手紙が来なくなったのは、もうちいかわは大丈夫だと確信したから。
そのことを、たった今ちいかわは理解した。
そして、ありがとうという気持ちを込めてちいかわは深くうなずいたのだった―













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。