第4話

4話
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2026/03/18 11:33 更新
第4話 壊れていく日常



翌日。

朝から、教室の空気がおかしかった。

ざわざわと、落ち着かない声。
スマホを見て、誰かが小さく叫ぶ。
mob
え、待ってやば……
私は席に座りながら、違和感を覚えていた。



(なんか、嫌な予感する)

その時。
mob
ねぇあなたの下の名前
友達がスマホを持ってくる。
mob
これ見て


画面に映っていたのは――

一枚の写真。

駅前。




雨の日。

ギターを持つ元貴と、

その前に立つ自分。
あなた
……え
息が止まる。

見出しには、大きく書かれていた。




『人気バンドボーカル、一般女性との親密写真』


その下に名前。

大森元貴
あなた
……嘘
手が震える。

昨日、見た“マネージャー”の文字。

噂。

全部、繋がる。
mob
あなたの下の名前……これ、似てない?


友達の声が遠い。

似てるどころじゃない。

これ――

自分だ。

周りの視線が、一斉に集まる。
mob
え、マジで?
mob
やばくない?
mob
繋がりある系?

ひそひそとした声が刺さる。

私は何も言えない。

(どうしよう)

スマホがまた震える。



SNS。

通知が止まらない。
『あの女誰』
『一般人無理なんだけど』
『匂わせ?』
『ファン舐めてるでしょ』





画面を閉じる。

見ていられない。

胸が苦しくなる。

その瞬間。

教室のドアが開く。

先生の声。
先生
静かにしろ
一瞬だけ空気が落ち着く。

でも。

視線は消えない。

私は、ただ前を向くしかなかった。
放課後。

私は逃げるように教室を出た。




向かう先は、決まっている。

駅前。



あの場所。

そこに――

元貴がいた。

いつも通り。

まるで何もなかったみたいに。
omr
あなたの下の名前
その声を聞いた瞬間。

胸の奥に溜まっていたものが、一気に溢れる。

私は走って近づいた。
あなた
なんで……
声が震える。

元貴は少しだけ驚いた顔をする。
あなた
見た?
私はスマホを見せる。




あの写真。

記事。

全部。

元貴の表情が、固まる。
omr
……ごめん
小さな声。

私は首を振る。
あなた
違う、そうじゃなくて
うまく言葉が出てこない。
あなた
なんで言ってくれなかったの
元貴は何も言えない。

沈黙。

それが、答えみたいだった。




私の目に涙が溜まる。
あなた
私、何も知らなかった
omr
……
あなた
ただの人間って言ってたじゃん
元貴が顔を歪める。
omr
それは――
あなた
嘘じゃん
はっきり言ってしまった。

空気が止まる。

元貴は何かを言おうとする。



でも。

私は一歩下がる。
あなた
無理だよ
omr
……え
あなた
こんなの
スマホを握る手が震える。
あなた
私、普通の生活したいのに
SNS。

学校。

全部壊れていく。
omr
あなたの下の名前
元貴が名前を呼ぶ。

その声が、痛い。
omr
俺は――
言いかけて、止まる。

きっと言葉を選んでいる。




でも。

その時間すら、苦しい。

私は目を逸らす。
あなた
もう、会わない方がいいと思う
その一言で、

何かが決定的に壊れた。

元貴の表情が変わる。
omr
なんで
あなた
……
omr
なんでそうなるの
私は答えられない。

本当は。
離れたくない。

でも。
あなた
あなたの世界と、私の世界が違いすぎる
それが全部だった。

元貴は何も言わない。



ただ、立ち尽くしている。

私は背を向ける。
あなた
ごめん……
小さく言って、

その場を離れた。
夜。

スマホの画面が光る。

SNSのトレンド。




『大森元貴 彼女』
『駅前の女』
『一般人特定』

私は画面を閉じる。

涙が止まらない。





(なんでこんなことに)

ただ、話していただけなのに。

ただ、歌を聴いていただけなのに。

静かな部屋の中で。

私は一人、泣いていた。

一方で。

元貴もまた、



同じ夜を過ごしていることを。

私は、まだ知らない。
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