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side R
ci「ロボロは何で騙されへんねん!!」
新詐欺師と言われているチーノは良く人を騙して遊んでいるのだがどうやら周りは騙されるのに俺を騙せない事が気に食わないらしく違う手法で間を空けて騙そうとしてくる
のだが、割と人間観察は得意な方でその上好きな相手となれば嘘かどうかの違いを見分けるのはそう難しくもなくて
騙されたフリでもしようかなんて考えてみてもきっとバレた時にかなり面倒な事になる事はやらなくても分かるわけで結局見破ってしまうのだ
rb「そんなん言われてもなぁ…
お前が騙せないのは俺だけって事は他は上手く騙せてるんやろ?
なら別に俺に拘らんくてもええやん」
部屋の隅で拗ねているチーノは普段は身長差的にどうしても届かない頭が俺が立っている事によって自分の視線の下にある為そっと髪に触れて優しく頭を撫でてやれば腑に落ちないと言いたげな不満気な表情で俺を見てきた
俺は割とチーノのその顔も好きだったりするのだ
俺以外は騙せるという事は他の人はこの顔を見た事がないのだろうかと思えば優越感を感じ凄く嬉しくなった
ci「俺はロボロを騙したいねん!!」
rb「俺騙してもきっと皆と変わらない反応しか出来へんで?」
ci「それでも見てみたいやんかっ」
rb「んー、でも、チーノ俺が嘘見破ったら嬉しそうにするやん…ほんまは気づいて欲しいってことちゃうの?」
そう、俺がチーノに騙されたフリをしない1番の原因はこれなのだ
騙されてくれない、どうやったら黙せるんだ、なんて嘆くチーノだけど、チーノが騙しに来る度に見破ったらあ、分かってくれたって表情をしながら本の少しだけ嬉しそうに笑うから騙されたフリをしてあげられない
だからてっきりなんだかんだ言って喜んでくれていると思っていたのだけれどここまでしょぼくれられればちょっと読み間違えてしまっていたのだろうかと思ってしまう
実際のところはどうなんだろうかと真意を確かめようと体を屈めてチーノと目を合わせれば予想外にも顔を赤く染めていた
ci「なっ、え、そんな事っ…ないやろっ!!」
俺が視線を合わせようとすれば思いきり顔を逸らされその姿が可愛いと思う反面この反応は少しくらいは期待してもバチは当たらないだろうかと考えた
rb「俺な、チーノに騙されない理由があるんやけど…聞いてくれへん……?」
ci「なんなん、それ」
rb「俺って人間観察は良くするから嘘とか見抜くのは割と得意な方やねん……そんでな?もしそれが好きな人となれば知らず知らずのうちに目で追っちゃうから尚のことちょっとした違いに目敏く気づいちゃうんやけど……」
ci「ッ……な、何言うてるん、そんなん、俺の事好きって……言うてるみたいやん」
rb「言うてるみたい……じゃなくてそうなんやって
俺チーノの事好きやねん、だから嘘も見破れるし、気づいたら嬉しそうにするその顔が見たくて騙されたフリすらしてやれへんねん」
ci「あ、アホちゃうかっ……!?ロボロが俺の事好きなんて気のせいや!!」
俺がチーノの事を好きだと言えば先程まで赤くしていた顔を更に赤く染めあげしまいには耳まで赤くなっているからそれが可愛くてそんなチーノが凄く愛おしい
未だに顔を逸らしたままのチーノの頬を自分の両手で包み込み無理矢理俺と顔を合わせれば視線だけを下に移した
rb「気の所為ちゃうよ、チーノが俺に笑いかけてくれるだけで、チーノが俺にしか見せない表情をするだけでほんまにドキドキするんやもん
なぁ、チーノは俺の事嫌いなん?」
ci「き、嫌いとは言うてへんやろ!?」
rb「じゃあ、好きなん…?」
ci「そ、れは……」
rb「仲間とか友達としてじゃなくて、恋人としてチーノの傍に居りたいんやけど……俺じゃだめ?」
ci「……ダメやない…俺も
俺も、ロボロの事好きやで、だから俺の恋人になってや」
きっと両想いな筈なのに歯切れの悪いチーノにもしかしたら男同士だから付き合うとかそういう事は考えていないのかもと思えば尻すぼみしてしまい無理って言う言葉が返ってくるかもしれないという不安から手が微かに震えた
チーノは少しだけ考えるような素振りをしたかと思えば首を横に振り俺の事を好きだと言いながら大きな腕で俺の事を包み込んだ
ci「ロボロ」
rb「な、なっ、う、え……えっ!?」
嬉しくて俺もチーノの背中に腕を回し胸板に顔を押し付けるようにしながら抱きついていればチーノの綺麗な声に名前を呼ばれて顔をあげれば優しく触れるだけのキスをされた
想定外の出来事に恋愛経験が皆無な俺はキャパオーバーして固まってしまった
きっと今、間違いなく顔は赤くなっているだろう
ci「ほんまは誰も知らないロボロ見たくて騙したかったんやけど……どうせ誰も知らないロボロを見るんならこういう顔の方がええわ」
そう言って不敵に微笑むチーノは先程のツンとした態度とは打って変わって飄々としていて騙されたような気分になった
どうやら詐欺師なチーノの方が一枚上手らしい
--END--
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!