第17話

riku / 雨模様
902
2025/11/21 11:19 更新




びしゃびしゃ、音を立てて
濡れたスニーカーが地面を叩く。


私は傘を持っていたはずだったけど、
いつの間にか無くなっていた。







今日、大好きだった先輩に告白して、フラれた。


そういう風には見てなかったんだって。



ほんとに、それだけ。だったけど、
その言葉が何度も頭の中でループして止まらない。




 「……惨めだなぁ」




走り疲れて、しゃがみ込む。
すぐ下にあった、深い水たまりを覗いてみた。


…泣き腫らした自分の顔が見えるから、余計に惨めな気持ちになってしまった。



こんな顔、誰にも見られたくないのに。









うずくまってたら、近くで足音が聞こえてきた。

そして、私の目の前で止まる。





 「あなた、風邪ひくよ」





声が柔らかかった。

ついでに、私に降る雨も無くなった。
傘を差してくれたみたいだ。




顔を上げる。

覗き込んできたのは、陸だった。


私と陸は所謂幼なじみとかいうやつで、小さい頃からの付き合いだ。

気が合うし、何でも言い合えるような関係。





でも、まさかこんなタイミングで会うなんて。








…でも、そういえばさっき、
先輩に告白するって、陸に言ったなぁ。わたし。



ずっと陸の顔を見つめて返事もしなかったから、陸がちょっと不思議そうな顔をし始めた。


はっとして、流れ出てる涙を拭ったあと、陸に言う。




 「……ありがと、」
 

 「いーよ、お互い様だし」


 「うん?」





私が首を傾げると、陸もちょっと首を傾けた。




 「お互い様って?」




陸は傘を片手に持ち替えて、私と視線を合わせるようにしゃがみ込んだ。




 「俺も、さっきフラれたんだよね」


 「え」




…本当に?びっくりして声が出ない。


だって、いくら幼なじみだからって、
同じ日に同じ痛みを抱えているなんて偶然すぎるから。


 
 「でも」

 「今やっと、その人を奪えそうなの」


 「…どういうこと?」


 「誰か、わかる?」







 「……わからない」



そう言うと、陸は小さく息をついて




 「あなたのこと」




そう言った。



 「…な、」



…いつから?気付かなかった。なんで?



ぐるぐる考えてるうちに、手を引かれる。




 「かえろ、あなた」


 「…うん」




二人で同じ傘に入るのは初めてじゃない。

けど、なんだか初めての気持ちだった。




簡単な人だと思われるかもしれないけど、
陸のこと、ちょっとだけ…かっこいいと思ったりして。




…陸にはまだ秘密だよ?


まぁとにかく、好きにさせられるのも時間の問題かもしれない。






陸の傘を持つ手を見つめる。

さっき存分に雨に降られたせいで身体はすっかり冷たいけど、心が熱くてしょうがなかった。

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