第2話

緊迫
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2025/04/13 02:28 更新
目が覚めると見知らぬ天井。触り心地がいつもと違うベッドと、趣味じゃないネグリジェ。窓から朝日を拝もうとすると外は真っ赤で禍々しい。

だんだんと眠気がさめてきて、そういやここは魔界なんだったと再認識する。


と、状況を理解したところで部屋の扉からノックの音と声がした。
iemon
めめさん、起きました?
めめんともり
はい、おはようございます。
iemon
おはようございます。着替えはベッドの横の机に置いてあるので、着替えたら外に出て来てください。
めめんともり
分かりました。
横の机をには言われた通り着替え一式がきっちりと畳まれて置かれている。着替えて鏡を確認すると、紺のドレスはシンプルだがなかなかにいいデザインだった。
支度を済ませて扉を開けると、iemonさんとぐさおさんが外で立っていた。
iemon
予定は歩きながら話しますね。
頷いてiemonさんについて行く。

やはり見慣れぬ廊下。無駄に天井が高いし、なんか壁に蝋燭付いてるし…と思ったが元々住んでいた城はもっと悪趣味だったことを思い出して少しげんなりする。
iemon
昨日魔王様に相談したんですけど、取り敢えず貴女と会ってみたいとのことなので朝食の前にそれだけお願いします。
めめんともり
…急に重大発表しますね。
ぐさお
大丈夫だよ、魔王様優しいから!
そういう問題じゃあないと思ったが言っても無駄そうなので笑って誤魔化すと、iemonさんに心配そうな目で見られる。
iemon
まあ魔王様は寛大ですが、部下の人達はちょっとあれなので頑張ってください。
ちょっとあれってなんだよ。そこがいちばん重要だろうが。

とか何とか話していると、目の前に豪華な装飾が着けられた巨大な扉についた。…どうやって開けるんだろうか。
iemon
この先に魔王様と幹部達が居ます。…発言には気をつけてくださいね。
そう言ってiemonさんは重々しい扉を開ける。普通に力技なのか。
扉が完全に開き、中の様子がしっかりと見える。中央に長いテーブルがあり、その左右を挟むようにして何人かが座っている。そしてその奥の高くなっている玉座に、おそらく魔王だろうと思しき人が堂々と座っていた。

雰囲気が一変し、空気が重苦しく感じる。
iemon
例の人間を連れて参りました。
iemonさんがそう言うと、横に座っていた水色の髪の薄桃色の角が生えた魔族が口を開く。
ウパパロン
ご苦労様、下がっていいよ。
iemon
…失礼します。
それだけ言うと、iemonさんとぐさおさんはどこかへ行ってしまった。聞いてませんが。どうしろって言うんですか。
場の視線が私に集まる。思わず後退りしてしまいそうな威圧感を感じる。
Latte
ま、取り敢えず座りなよ。そこの手前の椅子は貴女のために用意したんだからさ。
水色の魔族の反対側に座っていた黒髪の女性が促してきた。
それ以外に選択肢もないので座らせていただくことにする。
ウパパロン
えーと…ま、自己紹介しようか。俺はウパパロン。
水色の…いや、ウパパロンさんをきっかけにそれぞれ特徴のある面子が名乗りを始める。
Latte
Latte
みぞれ
みぞれ、です。
ぜんこぱす
ぽれはぜんこぱすです!
八幡宮
ンマッ
ルカ
…さっきの人は八幡宮さん。俺はルカです。
途中でよく分からない人がいたけれどそういうもんだと思って考えすぎないようにする。
と、奥に座っていた魔王らしき人物が何やら横のメイドと話している。メイドはどこか困ったようにしていたが、しばらくすると2人がこちらに向き直った。
茶子
え〜っと…見てわかるかもしれないけど、わたすが魔王の茶子!
菓子
…妹の菓子です。
なるほど、姉妹だったのか。確かに髪の色が途中で変わっているところなどが似ている。
と言うか話しぶりを見るに、iemonさんの言う通り魔王自体は結構話が通じそうだ。…代わりに他の癖が強いけれども。
ウパパロン
____それじゃ、本題に入ろうか。
ウパパロンさんが口を開いた瞬間、その場に緊張感が走る。息が詰まるような冷たい空気。
ウパパロン
めめさんはどうしたいんだっけ?
分かりきっている様な事をわざわざ聞いてくるあたり、この人は私の事を余り気に入っていないのだろう。だが、私はこんな所で諦める訳には行かない。
めめんともり
私をこの城に置いていただけないでしょうか。
ウパパロン
…此方のメリットは?
めめんともり
勿論あります。
めめんともり
私はロベリア王国の中でも有数な貴族、エピフィラム家の血統を持つものです。人質として使えば、そこらの人間よりかは役にたつのでは無いのでしょうか。
自分の家柄に感謝するのは恐らくこれまでもこれからも今だけだと思う。忌み嫌うべきものも自分のためならなんでも使ってやろう。
Latte
…でもさ、あんた達の王様ってそんな事はあんま気にしないでしょ?私利私欲のために動く悪魔よりも悪魔な奴じゃん。
くっ、正論…!我らが素晴らしき王様(どうしようもないカス)については事実なので反論のしようがない、が。
めめんともり
それでも国の中では影響力は強い方です。私の家系の者達は私を見殺しにするようなことはほぼ無いはずですので、もしかするとそこで内乱等を起こせるかもしれません。
Latte
……
決まった…!
取り敢えずこれですぐに殺されるようなことは防げるはず。
ルカ
それでは、此処に置いておくメリットは?
ルカ
そもそも敵を城に置いておくことはデメリットにしかなりません。貴女に魔術をかけておいて国に返せば此処に置かずとも人質としては機能します。
中々やるな、ルカとやら…!
けれどもそんな質問を読めないほどこの私は甘くない。
めめんともり
…そうですね、では私は貴方たちの重大な情報を握っています。
ウパパロン
…それはどういう事ですか?
再び空気がひりつく。ウパパロンさんは険しい目をしていた。
めめんともり
___魔族は、もう残り少ないのでしょう?
みぞれ
…!
その場の何人かが動揺したような表情を見せる。けれど、視線は変わらず私の方を向いていて、下手なことを言ったら無事ではすまないような空気感だ。
しかしそれを悟らせては行けない。口角を上げ、余裕そうな顔つきをする。
ウパパロン
何故そう思うんです?
めめんともり
まず1つ、今回の誘拐について。私とあと2人をさらったのはiemonさんと八幡宮さん、そしてここにはいないもう1人。王国に入り込むなんて命がけの行為ですが、それを幹部ともあろう人がやっていた、という事です。
名前を呼ばれて八幡宮さんがこちらを向く。
八幡宮
覚えてくれてたのか
めめんともり
2つ目、魔界からの進軍が少なくなった。国の歴史書を読むとおよそ50年に1度ほどの間隔で大量の魔族と魔物が攻めて来ていたのですが、前回からは70年近く経っているのに全くその気配がない。そんな余裕がないのでは無いのですか?
その場の空気が、冷えていく。
ぜんこぱす
…ふーん
めめんともり
そして3つ目。城に魔族が居ない。おかしいとは思ったんです。城の中で私はiemonさんとぐさおさん以外の魔族に会わなかった。使用人さえも居なかったんです。つまり、そういう事でしょう?








Latte
はは、面白い考えだね。
Latteさんが笑う。まるで、だからどうしたと言うような余裕感がある。
Latte
じゃあなんで私たち魔族が減ったの?私たちは君らよりもずっと強い。多少疫病が流行ったくらいじゃ精々村ひとつなくなるくらいなんですよ。
問い詰めるようにプレッシャーを放ちながら話すLatteさん。まるでこちらを黙らせるような態度だ。
…しかし、それが私の説を裏付けたようなもの。自信を持て、負けるなめめんともり!
めめんともり
先代魔王が亡くなったあとの後継争い、でしょう?
Latteさんの瞳が揺らぐ。一か八かが当たったようだ。
めめんともり
確かに貴方たちは強い。だからこそ、ここまで数が減った。…でしょう?
Latte
………















____不意に、拍手の音がする。音の方を見ると茶子さんだった。
茶子
いやあ、凄い!正に議論強者って感じだったねぇ!
ウパパロン
魔王様…
ウパパロンさんが顔を伺うように話しかける。けれど、そんなことは気にしていないかのように明るく茶子さんは話す。
茶子
ウパさんも納得してくれた?やっぱりわたすはめめさんともっと話してみたい!
茶子
それじゃ、みんな呼んできて朝ごはんにしよっか!
先程までの雰囲気はどこへ行ったのか、緊張が緩む。どっと疲れが押し寄せてきて、思わずため息をついてしまう。
iemon
それじゃ、食堂まで案内しますね。
いつの間にか立っていたiemonさんが椅子を引き、立たせてくれる。
ぐさお
いやぁ、めめさんが朝ごはんにならなくて良かった!
めめんともり
…本当に思ってます?それ…
やっぱりあまり安心しては行けないのかもしれない。

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