目が覚めると見知らぬ天井。触り心地がいつもと違うベッドと、趣味じゃないネグリジェ。窓から朝日を拝もうとすると外は真っ赤で禍々しい。
だんだんと眠気がさめてきて、そういやここは魔界なんだったと再認識する。
と、状況を理解したところで部屋の扉からノックの音と声がした。
横の机をには言われた通り着替え一式がきっちりと畳まれて置かれている。着替えて鏡を確認すると、紺のドレスはシンプルだがなかなかにいいデザインだった。
支度を済ませて扉を開けると、iemonさんとぐさおさんが外で立っていた。
頷いてiemonさんについて行く。
やはり見慣れぬ廊下。無駄に天井が高いし、なんか壁に蝋燭付いてるし…と思ったが元々住んでいた城はもっと悪趣味だったことを思い出して少しげんなりする。
そういう問題じゃあないと思ったが言っても無駄そうなので笑って誤魔化すと、iemonさんに心配そうな目で見られる。
ちょっとあれってなんだよ。そこがいちばん重要だろうが。
とか何とか話していると、目の前に豪華な装飾が着けられた巨大な扉についた。…どうやって開けるんだろうか。
そう言ってiemonさんは重々しい扉を開ける。普通に力技なのか。
扉が完全に開き、中の様子がしっかりと見える。中央に長いテーブルがあり、その左右を挟むようにして何人かが座っている。そしてその奥の高くなっている玉座に、おそらく魔王だろうと思しき人が堂々と座っていた。
雰囲気が一変し、空気が重苦しく感じる。
iemonさんがそう言うと、横に座っていた水色の髪の薄桃色の角が生えた魔族が口を開く。
それだけ言うと、iemonさんとぐさおさんはどこかへ行ってしまった。聞いてませんが。どうしろって言うんですか。
場の視線が私に集まる。思わず後退りしてしまいそうな威圧感を感じる。
水色の魔族の反対側に座っていた黒髪の女性が促してきた。
それ以外に選択肢もないので座らせていただくことにする。
水色の…いや、ウパパロンさんをきっかけにそれぞれ特徴のある面子が名乗りを始める。
途中でよく分からない人がいたけれどそういうもんだと思って考えすぎないようにする。
と、奥に座っていた魔王らしき人物が何やら横のメイドと話している。メイドはどこか困ったようにしていたが、しばらくすると2人がこちらに向き直った。
なるほど、姉妹だったのか。確かに髪の色が途中で変わっているところなどが似ている。
と言うか話しぶりを見るに、iemonさんの言う通り魔王自体は結構話が通じそうだ。…代わりに他の癖が強いけれども。
ウパパロンさんが口を開いた瞬間、その場に緊張感が走る。息が詰まるような冷たい空気。
分かりきっている様な事をわざわざ聞いてくるあたり、この人は私の事を余り気に入っていないのだろう。だが、私はこんな所で諦める訳には行かない。
自分の家柄に感謝するのは恐らくこれまでもこれからも今だけだと思う。忌み嫌うべきものも自分のためならなんでも使ってやろう。
くっ、正論…!我らが素晴らしき王様については事実なので反論のしようがない、が。
決まった…!
取り敢えずこれですぐに殺されるようなことは防げるはず。
中々やるな、ルカとやら…!
けれどもそんな質問を読めないほどこの私は甘くない。
再び空気がひりつく。ウパパロンさんは険しい目をしていた。
その場の何人かが動揺したような表情を見せる。けれど、視線は変わらず私の方を向いていて、下手なことを言ったら無事ではすまないような空気感だ。
しかしそれを悟らせては行けない。口角を上げ、余裕そうな顔つきをする。
名前を呼ばれて八幡宮さんがこちらを向く。
その場の空気が、冷えていく。
Latteさんが笑う。まるで、だからどうしたと言うような余裕感がある。
問い詰めるようにプレッシャーを放ちながら話すLatteさん。まるでこちらを黙らせるような態度だ。
…しかし、それが私の説を裏付けたようなもの。自信を持て、負けるなめめんともり!
Latteさんの瞳が揺らぐ。一か八かが当たったようだ。
____不意に、拍手の音がする。音の方を見ると茶子さんだった。
ウパパロンさんが顔を伺うように話しかける。けれど、そんなことは気にしていないかのように明るく茶子さんは話す。
先程までの雰囲気はどこへ行ったのか、緊張が緩む。どっと疲れが押し寄せてきて、思わずため息をついてしまう。
いつの間にか立っていたiemonさんが椅子を引き、立たせてくれる。
やっぱりあまり安心しては行けないのかもしれない。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。