20年前──
ビルの上から、ジャニとその部下は街を見下ろした。
目線の先には宛もなくさまよう死人──シャオジュンがいた。
と、部下の男はそう呟きながらデータベースにシャオジュンの名前を打ち込むがなかなかヒットしない。
戸籍上では死んだ人間のはずなのに、
「死者のリスト」が存在しない─
普通、死者には死後1時間以内に担当の死神が迎えにあがり、あの世まで送り届ける。
この世に未練がある者の場合は、
原則1週間現世にとどまることが許可されるが、
それ以上の引き伸ばしは不可。
その後は強制的にあの世に送還されることになる。
がしかし、あまりにも強い念を持って、死神の管理を掻い潜ってどうにか現世に留まる霊が時たま居る。
地縛霊や守護霊といったところだが、、
それらは、最初は害を及ぼさなくても、時間が経てば経つほどその念はどんどん増幅する。
結論から言えば(約四十九日程で)悪霊化、怨霊化が進んでいく。
やがて本人の意識を乗っ取り、理性がなくなった状態になればもう手遅れである。
浄化どころか弱霊化することすら難しい。
そうなれば話は別だ。
人間に被害を加える可能性があるからである。
霊が人間に害を加えたとなると、
下界とあの世との秩序が崩れる。
それは、あの世とこの世の結界を破壊、
つまり、あの世とこの世の区別がない混沌とした世界ができあがってしまうということだ。
だから死神の仕事は漏れや失敗が許されない。
ストレスフルな仕事なのだ。
とまぁ長くなったが、部下が驚く理由はこう言ったことからである。
普通の霊であれば、10年もこの世に留まるとなると悪霊以外選択肢は無い。
死人であろうと問答無用で強制処分である。
と、ジャニは高らかに笑った。
部下の男は「とんでもない、!」と言うように身震いをしてジャニを見た。
ジャニは下唇を舐めながら、尚もさまよい歩くシャオジュンを真っ直ぐ見つめた。
と、シャオジュンが足を止めて、こちらを見上げた。
真っ直ぐ、こちらを見ている。
数百メートルは離れているこの距離で、
確かに、ジャニと目が合っているのだ。
こっちを真っ直ぐと見つめるシャオジュンから目が離せない。
こんなに離れているのに、その視線の冷たさと痛さが伝わっくる。
背中に、冷たい汗が流れるのを部下の男は感じた。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。