前の話
一覧へ
次の話

第2話

⸜❤︎⸝‍
8
2026/02/15 02:00 更新
淡乃 心夜
どーも〜!初めましての方は、初めまして!
個人勢VTuberの淡乃 心夜といいます!
〈始まった〜!

〈1回しか配信してないけど、むっちゃおもろいw

〈心夜のこと好きw
淡乃 心夜
今日はですね、ファンマやファンネ、ファンアートや配信タグ、切り抜きタグなどを決めようと思います!
〈お!早く決めよ

〈はよやろ

〈今すぐやろ
淡乃 心夜
おぉぉw。「はよ決めろ」wはい。
今から決めるので焦らせないでw
淡乃 心夜
一応俺の方で決めてきたんだけど、変だったら変って言ってね。

ファンマ➪🎧🌙☕️
ファンネ➪夜の常連
ファンアート➪夜のメニュー候補
配信タグ➪夜の喫茶店
切り抜きタグ➪喫茶店のメニュー
〈うわぁめっちゃいい✨️!

〈夜のメニュー候補って言い方好き

〈夜のメニュー候補と喫茶店のメニューって、その人がいいなって思うものを尊重してるみたい!
淡乃 心夜
↑で行こうと思います!
それでですね、初めの挨拶と終わりの挨拶も考えました!
淡乃 心夜
初めの挨拶は、「今夜も、夜の喫茶開店です。」で、終わりの挨拶は、「それじゃあ今夜は、この辺で。夜の喫茶、閉店です」です
〈モチーフ喫茶店?

〈推し活喫茶的な感じかな?

〈喫茶店めっちゃいい
淡乃 心夜
そーそー、モチーフは喫茶店にしたんだぁ。
この喫茶店は、俺がオーナーでぇ、好きなことをとことんやれるようなところを作りたいって思ったんだ〜
〈これが、あの常連王なんてねw

〈最近、若旦那が来ないって思ったらこんなことしてたんだ【葛葉】

〈リスナーに言われてきたら、どタイプw【不破湊】
淡乃 心夜
はぁっはぁっはぁっ
違う…俺じゃ…俺じゃない…はァッ
〈え?どしたん?

〈え?なになに

〈大丈夫、?

〈何が原因?

〈なんだ?

〈なぜ?
淡乃 心夜
おッれは、若旦那じゃッ
俺はッ、俺はッ…
心夜、落ち着いて
淡乃 心夜
はぁっはぁっ俺はっ
俺はっ!
あ〜、皆さん、ごめんなさい。
心夜今、配信どころじゃないので、今日はここで終了します。皆さんごめんなさい。
淡乃 心夜
いや、俺まだやる、。まだッまだできッ、る
出来てないでしょ。
ね?落ち着かせてから、またやろ?
淡乃 心夜
……閉店、します。
すみません。
マイクをミュートにする。

さっきまで流れていた自分の声が、急に遠くなる。
BGMだけが、まだ残っている。

カーソルを、配信終了のボタンに合わせる。
……押せば、終わる。
少しだけ、指が止まる。

画面の向こうには、まだコメントが流れている。

〈心夜大丈夫?〉
〈落ち着いてな〉
〈今日もありがとう〉

――ありがとう。
小さく息を吐く。
クリック音が、やけに大きく響いた。


【_淡乃か心夜が配信を終了しました_】


画面が切り替わる。
部屋が、静かになる。

「……若旦那」
呟いた声は、もう誰にも届かない。

最初は、嬉しかった。
名前を呼ばれているみたいで。
覚えてもらえた気がして。


ただ好きで通って、
ただ話し方が好きで、
ただ歌声が好きで。
それだけだった。
赤スパだって、見返りが欲しかったわけじゃない。
でも。


〈調子乗ってるよね〉
〈金あるアピール?〉
〈ウザいんだよ〉

通知欄に並んだ、知らない名前。
いつからか、“若旦那”は
祝福じゃなくて、線を引く言葉になった。

特別なんか、いらなかった。


「……俺は、ただのリスナーだった」
暗くなったモニターに映る自分を見つめる。

心夜として始めたのは、
何も背負わずに、好きでいるためだったのに。
「……バレたく、なかったのに」

部屋の静けさが、やけに重い。
淡乃 心夜
その名前だけは、出して欲しくなかったッ、

プリ小説オーディオドラマ