第8話

さくらの下
657
2024/02/28 10:31
1度だけ、兄さんと桜を見に行ったことがあった。
幼少期 小柳ロウ
待ってよ!兄さん!
あなた
ほらロウ!見て!
小さかった俺達には少し高かった丘のてっぺんに

1本だけ巨大な桜の木があった。

とても綺麗で、毎年2人で見に行ったものだ。
あなた
こけんなよ!
幼少期 小柳ロウ
はぁーい!!
俺はその周りに舞う桜の花びらを

追いかけるのが好きで...

何度こけるなよと言われたっけ...
ドテッ
幼少期 小柳ロウ
うわぁぁぁぁん!!!!
あなた
あーもう...言わんこっちゃない...
毎回転けてたけど...

でも平気だった。

俺が転けたら兄さんが駆け寄ってきてくれて

膝に優しく手を当てて

2人で魔法の呪文を唱えるように言う。
あなた
痛いの痛いの〜!
小柳兄弟
とんでけっ!!
あなた
...
幼少期 小柳ロウ
...
あなた
へへっ!
幼少期 小柳ロウ
へへっ!!
...ほんとに変わらないな
あなた
ここも...
...もし願いが叶うとしたら。

もし今からでも遅くないのなら。

生まれ変わったら。

生まれ変わったらロウとまた。

ロウとまた兄弟として桜の下で笑い合いたい。

...生まれ変わったらさくらの下でまた会いましょう

プリ小説オーディオドラマ