病状は安定しつつも、最悪なステージの心臓は
もうどうにでもならない。
私は病室で手紙を書き進めていた。
水月へのもの、誠一郎、あなたの名前2、幸村
そして、キヨ
身体はそんなに動かない中、せっせと右手を動かす。
あの話し合いの後、余命を告げられた。
余命は1ヶ月ほど。
だけどそれはあくまでも目安。
私の現状は包み隠さず、マスコミへ伝えた。
いきなりの引退となってしまったが
仕方ない。
アンはあれから精神不安定になり
北海道へ移ることになって、彼女も
競走馬を引退することになった。
記者会見などできるはずもないし
いつ何時起こるかわからないこの病気
ネットニュースや新聞は私たちのことを
大きく取り上げた。
申し訳ない気持ちはありつつも
私は純粋に嬉しかった。
するとそこに、水月がやってきた。
そう言うと、彼女はパンフレットを
渡してきた。
そこに記されていたのは
私の遺産は全部水月に渡すつもりだったので
その手続きを進めた。
しかし、終活大変。
水月には色々手間をかけさせることになる。
うちのお墓だって誰もいなくなるから
墓しまいもしてもらわなきゃいけないし。
私の遺骨なんてそこら辺に撒いてもらっていいし
北海道の海に散骨してもらおうかなとも考えていた。
そこまで想われてるのは
本当に女冥利に尽きる。
次の人生があるのなら
素直で可愛い女になりたい。
そして、私は退院して
北海道へ移った。
レタル乗馬の側に慶次おじさんが
住居を用意してくれていて
幸村と一緒に住んでいる。
おじさんにもお世話になった。
最俺の皆んなも会いにきてくれた。
最俺の皆んなにも
生きているうちに会えるのは
おそらくこれが最後だ。
涙ぐみながら、3人と握手を交わして
別れを惜しんだ。
それから数日後に
キヨとあなたの名前2が北海道に来てくれた。
アンに乗っているのを見て、彼らは驚いた。
余命としては後1週間ちょい。
不思議と体調は穏やかで
たまに心臓が変なこと動きをすることはあるけど
順調に終活は進んでいる。
そう言って彼女が離れていく。
キヨと2人になり、アンのこと馬房に連れて歩きながら
話をする。
穏やかな笑顔を浮かべる彼に
私はこう言った。
あなたの名前2に悪いとおもいつつ
私は彼の手を取って、手を繋いだ。
この手の温もりも、優しい視線も
私は心から好きだった。
昔も
そして、今も。
まもなく、私は旅立つ。
ずっと言えなかったこの
悪夢の始まりを
やっと言える時が来るのだ。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。