(ザキ Side)
夏の猛暑のなか、俺は自然豊かな緑の中にある一本道である人物…紫を待っていた。
紫によると、俺に会ってほしいやつがいるらしく…
そんなわけでかれこれ一時間待っている。
そんなことを呟き、自販機で買っておいたペットボトルの水を飲み汗を拭いながら紫を待っていると…、
ギュオンッ
-ドサッ!!
すると俺の近くに突然紫の“スキマ”が開き、そこからなにか…いや、誰かが降ってきた。
そしてスキマはすぐに閉じる。
俺は落ちてきたその誰かを見て、思わずペットボトルをその場に取り落としたまま固まった。
なぜなら、その誰かはー。
俺の…大切な幼馴染みだったんだから。
その少女…あなたの下の名前は服についた砂を払いながら俺をまじまじと見る。
俺はあなたの下の名前の手を引いて立たせ、顔をよく見る。
…やはり、俺の幼馴染みのあなたの下の名前だった。
そんなことを心で呟き、俺は改めてあなたの下の名前を見る。
…正直、違和感があった。
俺…俺とキラが知っているあなたの下の名前では無かったからだ。
俺とキラが知っているあなたの下の名前は…おしとやかで、誰に対しても優しい…そんな性格だった。
だが、なんだか今は…まるで心や感情が空っぽにでもなってしまったかのような…放心状態のような…そんな感じだった。
いや…そもそもの話、幼馴染みとの数年振りの再会…
俺からいうのも変な部分もあるのかもしれないが…
もう少し感情が溢れだしてもおかしくない筈なのに…
いくらなんでも、冷静すぎる。
するとあなたの下の名前は、俺の心情を察したような様子でそう言ってきた。
…まさか、自分が冷静すぎるとわかってるのか?
表情に出なくなってる…確かに常に無表情…
ポーカーフェイスになっているな。
そうして…俺はあなたの下の名前の手を引いて歩きだした。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。