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第1話

第1話
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2021/06/20 22:00

あなたの下の名前side




来るな


逃げろ、逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ!!!





息が苦しい。


お金を使わないように移動は歩くか走るかだけ。




今の所持金は25000円。


貯金と少しのお年玉ではこれで限界だった。





そろそろ日も落ちて来たな



泊まる場所を見つける前に、遠くに行かなきゃ___





















ド ン ッ









(なまえ)
あなた
…あ、……すみません…っ




走るのに夢中になりすぎて、ぶつかってしまった。


不思議そうな顔を見て、ほんの少しの不安がよぎる。



逃げた方がいいか、これでも私はまだ子供だし。



(なまえ)
あなた
…すみませんでした……っ!


早く逃げよう。



警察にでも連れてかれたらおしまいだ。



??
…ちょ、……ちょ!待ってよ!


やばい、…怪しまれてるかな

??
……どったの?
(なまえ)
あなた
??
や、その……何も無いならいいんだけど


逃げなきゃ…。



これ絶対連れていかれるパターンのやつ!

??
顔色悪いし…
なんか事情あるなら協力するよ!





…東京にこんな神みたいないい人いたんだ



……ん、?いやでも





知らない人について行っちゃダメって言うし…



これが作戦、って可能性も無きにしもあらず?

(なまえ)
あなた
…っえ〜………


神か悪魔か、よく分からない人はポンと手を叩いた。


??
…あ、自己紹介がまだだった!
虎杖 悠仁
虎杖 悠仁
俺は虎杖悠仁いたどりゆうじ
虎杖 悠仁
虎杖 悠仁
一応高校1年生、よろしく


にこにこしててすごい良い人そうだな〜…

虎杖 悠仁
虎杖 悠仁
…君は?
(なまえ)
あなた
…あなたの名字……あなたの下の名前、です

あ、しまった


と思った頃にはもう遅かった。




どうやら私はいい人オーラに騙されたらしい。

虎杖 悠仁
虎杖 悠仁
あなたの下の名前ちゃんね


見ず知らずの私を呼び捨てにしたことに驚く。


彼と私の価値観の違いか

(なまえ)
あなた
……ぁの…


息が切れているからか、初めの声はかすれた。

虎杖 悠仁
虎杖 悠仁
ん?



どうして助けてくれるんだろう?



それだけが疑問で仕方なかった。

(なまえ)
あなた
なんで…私のこと、
虎杖 悠仁
虎杖 悠仁
んー…


理由がないならほっとけばいい。



人間なんて所詮そんなもの。

虎杖 悠仁
虎杖 悠仁
本気で困ってそうだったから、…
虎杖 悠仁
虎杖 悠仁
そんだけ!







きらきらしてる。



オーラが、笑顔が、瞳が、すべてが。




虎杖 悠仁
虎杖 悠仁
…あ、迷惑だったらごめんね?!



なんなんだろ、この感情



見たことない世界にドキドキが止まらない。


(なまえ)
あなた
…ありがとうございます、虎杖さん!
虎杖 悠仁
虎杖 悠仁
ん!?…ううん!



やっぱりいい人そうだな



良かった。


虎杖 悠仁
虎杖 悠仁
疲れたでしょ?家帰ろ



虎杖さんの手をとって、並んで歩いた。



ひとりぼっちだった時よりも、ずっと輝いて見えた。







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