残り香が着いているお気に入りの服を着て大学に行くと、早速バンチャンに呼び出された。
"呼び出し"という名目を使って昼飯をいつも一緒に食べさせるこの人は俺にとってまあまあクソ野郎である。
まあ、奢ってくれるし話聞いてくれるし、ずっとニコニコしてくれるからいいけど。
でも最近、なぜか分からないけれどその笑顔が怖くなってきてしまった気がする。
やっぱりスンミンが好きだから?
______いや、スンミンにこれがバレたてしまったら関係が途切れてしまうかもしれないから?
俺はあまり喉が通らなくて、店員さんが丁寧に注いでくれていたお冷を無理やり流し込むと、やはりむせ返るように喉が絞まるのが分かった。
煙草を吸うにしても、此処はいつも行きつけの喫煙可能な店ではないから外に出るしかない。
だけどこの顔を世間の人間様に見せる勇気も、はたまた立派な社会人の前で喫煙するなんてみっともないというか。
腹を出しながら特に夢もなく同じ種を吸っているおじさんみたいになりたくないというか。
_________、ふと思う。
おじさん同士、いや社会人同士でも、スンミンとはこんな関係になれたのかな。話せたなのかな。
俺の事、頼ってくれたのかな。
黙っていた俺に水を指すような声と、表情と、その眼が怖い。
分かっていた、この人が俺の事を弄んで構っている訳じゃないってことも。どこまでも優しすぎるってことも。
分かってるよ。俺を気遣ってそんな誤魔化してくれてるんでしょ。俺を困らせない為なんでしょ。
だからこそ、しっかり断りたい。断りたいはずなのに、いつもペラペラと動く小さな口はいざという時に開かないのだ。
当然だ、本当なら俺が謝るべきなのだ。
「ごめんなさい、好きな人がいるから気持ちには応えられまさん。」
そう言いたいのに、もしかして俺は"好きな人がいる"と言えないくらいバンチャンに期待してる?
スンミンが振り向いてくれないなら、バンチャンに寄りかかって、ずっと愛されて、可愛がられたい?
そんな事、俺は思ってしまっているのだろうか。
これは本心?
もう全部がかき混ぜられてぐちゃぐちゃだ。この染み付いた匂いだけはずっと同じで居て欲しかったのに、この服には先程の料理屋の香りが付き始めている。
やだやめて、これだけはやっぱり、だめなの。
歩道に1人、片手には着信音が響くスマホ。
どんなに虚しくても、悲しくても、寂しくても、やっぱりその声は聞きたくなってしまうのだ。
揺らいで来てしまった🐰さん可愛い🥺💞💞
というか更新止まってしまって本当に申し訳ないです、お久しぶりです💦💦













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!