第2話

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2025/09/13 02:38 更新
始まりは、ごくありふれた放課後だった。

教室に残っているのは数人だけで、
窓の外にはオレンジ色の夕焼けが伸びている。


ノートをまとめていたあなたの耳に、不意に声が落ちた。
アメリカ
………
アメリカ
お前のこと







「昨日まで見えてなかった」






その一言に、手が止まった。


顔を上げると、クラスメイトの一人アメリカ。

普段はお調子者で、冗談しか口にするタイプのその人物が、まっすぐこちらを見ていた。



「何言ってるの?」



と笑ってみせるが、相手の視線は揺れない。

冗談ではないのだと、すぐに分かってしまう。

 確かに自分は、この教室に通い、授業を受け、昼休みには他のクラスメイトと会話もしてきた。

誰もが普通に接してくれているし、昨日までだって同じ日常が続いていたはずだ。



けれど、目の前の彼だけは「違う」と言う。
アメリカ
みんなには普通に見えてる。
でも、俺は__今まで気づけなかった
何かの勘違いだと切り捨てたい。

だが、その瞬間、胸の奥に小さなざらつきが広がった。
いつから自分はここにいるのか。
入学式の記憶は?
初めて彼と話した時のことは? 

思い出そうとすると霧のようにぼやけてしまい、形を取らない。
笑ってごまかそうとした言葉は、喉の奥で絡まって出てこなかった。








沈黙の中、窓から差し込む夕陽がゆらりと歪んだように見えた。
目の錯覚だろうか。

けれど、オレンジ色の光が一瞬だけ赤黒く変わり、視界の端で時計の針が止まった気がした。

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