上空で、私は助けを必要とする人を探した。
すると、ホームランのボールが、カラスに持って行かれた。
これでは判定ができない…しかも、あの子の愛用しているボールだった。
私は、カラスからボールを奪い、相手に投げる。
「天使さん、ありがとー!」と。
その子は嬉しそうに笑っていた、
私はもう、人間じゃない。
だって…天使の翼が生えているから。
恋ちゃんならすごく喜んだだろう。これで全人類を幸福にできる、って。
私は恋ちゃんじゃない。人々の幸せのために自分の命を削れるほどお人好しじゃない。
私はシャチと、普通の毎日を送りたいのだ。
ショッピングに行ったり、誕生日をお祝いしたり。
その当たり前の日常が、あっという間に奪われた。
なぜこうなったかって?
私はね、ある日クッキングラボというところを見つけたの。
私は、ポトフを作った。
そのポトフを食べたとき、ものすごい熱が私を襲った。
私は倒れて…そのまま保健室に連れて行かれた。
宮ちゃん…四之宮リンリンも。
私は40℃を超える、人間の命の危険が高い温度だった。
というか、もうおそらく人間がこの体温になったら死んでしまうのではなかろうか。
でも、私は死ななかった。おまけに、天使の翼が背中を突き破って、美しく広がっていた。
そして私は、衝動の思うがままに、自分を犠牲にし始めた。
いじめられている子の前に立ち、バットで殴られた。…あの日のように。
雨に濡れながら、その人の大切な鞄を取った。突風水にさらされた。
配達の仕事を頼まれて、遠くへ運んだ。荷物が重いせいで、うまく進めなかった。
それでも私の衝動は満足しない。
いくらでも、私は動いた。みんなの幸せのために。
私は、その衝動の単なる自己満足だと思っていた。
でも毎日、朝から晩まで、衝動に付き合い続けた。心も身体も、限界になってきていた。
あそこで料理をしなければ、自分もこうならなかったし。シャチも悲しまずにすんだはずなのに。
私は、よかれと思ってしたことが、実は自分勝手なわがままだということに気づいた。
そっと、堕ちていく。
ここで私は。死んだ方がいいのかもしれない。
私はもう死んでしまう。
地面まであともう少しだ…
ぎゅっと目をつぶった。
でも、私の人生は終わらなかった。
…………続きがあった。
私は、疲労にあふれた身体を必死に動かしシャチを見る。シャチはしっかり私を抱えていた。
私は首を横に振る。
私には、大切に思ってくれてる人がいる…!
だから、ここで諦めるわけには行かない。
私には、何かが見えたような気がする。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!