あれから1週間程して転寮の準備が整った。
その間にも友達は続々と増え続けていて、このままいけば僕が何も言わずともホリデーの予定は埋まる気さえする。
「いやー、みんな助かるよ。ありがとう!」
「気にすんなって!」
「こんなの全然大丈夫だよ」
「他にも手伝えることある?」
そして今。サバナクロー寮からハーツラビュル寮へと荷物を運ぶのに友達が手伝ってくれている。というのも荷物などの所持品をダンボールに収納してみても1人では何往復もしてしまうぐらいの量があり、とてもじゃないがやってられなくなってしまったのだ。
それを友達に愚痴ると……なんということだろう!こんなにも沢山の生徒たちが手伝いに来てくれたではないか!
ああ、誰かに何かをしてもらえる、……ってこんな感じなのか!!
誰かのために行動することが多いグランには、自分のために何かをしてもらえる友達というのがとてつもなく輝いて見えた。
だってそうだろう。
自分の兄弟たちはグランが困っていれば手伝おうという意思こそみせるが、実際に行動に移すのはそう多くはない。
「みんな、『誰かのために行動する』っていうのはとても難しいことなんだよ!本当にありがとう」
そうして無事に部屋の移動も終わった。
ちなみに途中からハーツラビュルに所属したことやちょうど1部屋余っていた事が関係し、なんと4人部屋をひとりで使えることになった。
「わーい、何置こうかな〜」
まずはダンボールの整理が先だが、ついつい浮かれてその先のことまで考えてしまう。
本棚にお気に入りの漫画を置いて、白いアンティーク調の棚にはティーカップやお洒落なお皿を飾ってみようか。ああでも、それだとイマイチ部屋の雰囲気が決まらない気がする。ガチガチのバトル漫画とティーカップが共存する部屋ってどうなんだ?……そうだ、本棚にはカーテンをつけて誤魔化そう。遮光にもなるしいいだろう。
そう黙々と妄想を膨らませていたところコンコンと扉を叩く音がした。
「はーい」
「グラン、もう準備は終わったか?」
トレイ君だった。
一通りの挨拶を済ませたあとはオレンジ色の髪とダイヤモンドのスートが特徴の、チャラそうな人を紹介される。
「やっほー!オレはケイト・ダイヤモンド。よろしくね!」
「僕はグラン・グロウ!仲良くして欲しいな!」
明るく自己紹介してくれたケイト君。身振り手振りもあって賑やかだ。
……なんて言うか。ノリが。今まで話したことない系の子かも。
多分。
もしかしたら。
仲良くなれそうにないかも———
「そういえばお姉ちゃんがさぁー」
「———お姉ちゃん?」
「うん。もー本当に弟に対しての扱いがヒドイっていうか」
「……わ、わかるぅ!!僕にも兄と姉がいるんだけど『自分の方が年上だから』ていうのでなんでもかんでもしてもらいたがるの!あ、部屋に入って話そ!」
……前言撤回。めっちゃ仲良くなれそう。
これにてプリ小説での投稿は終了となります。
続きはpixivにて投稿する予定です。
今までありがとうございました!












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。