前の話
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ふう。
もう、何日たっただろう?
いや、何年たっただろう?
ここは、パルデアのように見えてパルデアではない世界。
ここは、アルセウスたちに見捨てられた世界。
その世界には、人間は存在しなかった。
......あの日までは。
センコウ! あとは頼んだ やめろ! 世界が コイツポケモンなのか?
消える なんだこのポケモン このままじゃみんな死ぬ。 どうすればいいんだ?
そうか。俺が犠牲になればいいのか。
センコウ!
やめろ!
サウザンウェーブ・弱。
早くお前も来い!
俺は行けない。
時空を閉じろ!
じゃあな。
...最後。みんなに別れの言葉を言い放った時のことが頭から離れない。
別れの言葉───じゃあな。と言い放った。言い放ったが、本当はそんな事言いたくなかった。
みんなに会いたい。また一緒に笑いたい。
でも、それはもうできない。
ジュエルは力を使い果たして眠っている。
起きるのかどうかさえも分からない。
もう、時空を越えることは、できないのだ。
その事実が自分の体に重くのしかかる。
思わずため息が出る。
すると、廊下の向こうから、ふわふわと金色の生き物が入ってきた。
入ってきたのは、センコウの手持ちのフーパ。
自分の手持ちたちも元の世界に帰そうかと考えた。
でも、それを止めたのが、他でもないフーパ。
ボールの中からセンコウにテレパシーを送り、手持ちのポケモンたちの総意を伝えた。
そのおかげで、センコウは孤独ではない。
だが、話ができる相手がこのフーパしかいないのも、また事実。
同じ人間がこの世界にいないのも、センコウの気持ちを下げている原因の一つなのだ。
この世界では、野生ポケモンが居ない。代わりに、古代と未来のパラドックスポケモンがそこら辺に大量発生しているのだ。
フーパの姿が変化する。
ここには人間はいない。だが、訪ねてきたのは人間かもしれない。もし人間ではなくても、少なくとも信頼できる仲間達がいる。そうだ。恐れてはいけない。たとえどんな強敵が相手でも、みんなで協力すれば、勝てるんだ。
フーパの六つのリングのうち、半分の三つのリングが宙に浮かび、巨大化する。
そして────
みんな一斉にうなずく。
余談




















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!