今から15年前
この魔法界に1人の子供が生まれた
ドミナ・ブローライブ
一歳にも満たぬ赤ん坊から放出される魔力は
膨大なあまり周囲の建物自体を壊すこともあった
そしてその壊れた建物を
修理していたのが、生後5ヶ月のマッシュ・バーンデッドである
マッシュとドミナは同じ時期に生まれた
ドミナは日中所構わず暴れた……
魔力の塊は石壁を粉砕し
近づく大の大人は膨大な魔力に当てられて気絶し
誰もが赤子である彼に恐れ慄いた………
産婆は感じた…このまま育てばとてつもない魔法使いになると………
そして一方、魔法が使えないマッシュは日中所構わず日曜大工をした
かんな捌きは見る者を唸らせた
そして日曜大工の腕前は本格的な収納棚を作れるまでになっていた
産婆は感じた…このまま育てば立派な大工さんになれると…
ドミナは父親と母親を深く尊敬していた
溢れ出る圧倒的な強さに
本能が敬服した
そして生後まもなく悟った
この命はこの人達のためにあるのだと
そのための特別な力だと
しかしある夜ドミナは思った
何故魔力のないあの赤子が私と父からは同じ扱いを受けているのだと
なぜ自分と同列であるのかと
なぜ母からは私よりも愛されているのだと
自分の方が魔力も特別な力もあるにと
猛禽類の雛が同じ巣の小さい雛をいじめるように
親の愛情を独占するように
本能的にドミナはマッシュを消そうとしたのだ
ドミナは意識的に魔力をコントロールしマッシュを襲った
その時は母……あなたもいたのに
目の前で弟を殺せば、母は無意識に魔力をコントロールしてしまったのではないかと考え、自分を慈しんで、愛してもらえるのではないかと思ったから
シュンシュン
あなたは憎いはずの相手との子供なのに親バカになっていた
自分の攻撃を慣性ドリフトで避けられる
この事実にドミナは直感した
こいつはこちら側の人間だと
そして数週間後、いつも決まった時間に来るあなたとマッシュは姿を消した……
この日以来ドミナはこう考えるようになった
奴が生きている限り
父親からの完全な承認と、母親からの完全な愛情を独占できないのではと…
ドミナの欲の形はあまりに歪
その歪な欲求は解消されることはない
マッシュ・バーンデッドを消し去るまで
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はい、番外編(息子とシリルver.)
ドゥウム
ファーミン
エピデム
デリザスタ
ドミナの前にセル坊
またドミナの前にシリル
はい最後ドミナ
なぜドミナを最後にしたかと言うと…
これは早口である
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。