重苦しい雰囲気に誰も口を開かなかった。俺も、何か声をかけるべきだったのかもしれないけど..黙るばかりだった。
視線が集まるのは、もちろん僕。
黙ることしかできなかった。
三人の優しさが痛い。
そう、僕はなにもされていない。
僕が生まれて、自我を持ち始めて気づいた。この両親は頼りにならないことに。実験のために毎日毎日家を空けて、まだ歯も生えそろっていないような弟達を置いて行ってしまうのだから。
生活が成り立つよう、僕は家事をした。洗濯や料理、たまに帰ってくる両親は僕を褒めた。
その日、お母さんが帰って来たと思えば弟たち二人を連れて行った。
たとえ、あまり帰ってこなくても。僕とってはたった1人のお母さんだったから信用していた。いつも通り料理をして洗濯をしてわがままを言う弟達がいないぶん、少し楽だった。
2人の弟は、体に酷いキズが付いていた。
それからわかった。両親は、子供を実験道具としか思っていないんだって。
今まで、弟達には隠してきた。僕がずっと思ってきたこと、苦しかったこと。ちょっと声が大きかったから、もしから聞こえていたかもしれないけど。もう、僕だって苦しくて仕方なかった。
発狂して苦しむことが運命づけられてしまった弟達を守れるのは、僕しかいなかったから。僕がしっかりしないと、ダメだったから。
ジェルくんは、そうやって手を広げる。るぅとくん涙でぼろぼろになりながらぎゅっと抱き着いた。すとぷりメンバーもそれに続いて、るぅとくんを抱きしめている。
3人は我先にと言葉を紡ぐ。....次に、視線が集まるのは俺だ。言葉が出てこなかった。俺は、膝に顔を埋めた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。