大きな影が俺たちを包み込む
俺達の反応を見て、不安そうに顔を上げる女の子
凪砂が抱っこしていたあかりを俺に渡してきた
俺はあかりを受け取るも、頭に血が上っていた
だったら…
そうグダグダしている内に、怪獣は目前までやってきていて、
その鋭い爪を俺たちに向けてきた
ツーっと頬から血が流れる
雨で視界がぼやけて良く見えない…
あかりは…
俺は抱っこしているあかりを見た
あかりは俺の胸元でうずくまって震えていた
俺はあかりをギュっと強く抱き締めながらこう言った
あぁそうだ、
こんな化け物に戦って勝つわけが無い
全力で逃げて、防衛隊が来るまで持ちこたえる
汗か雨か分からないものが頬をつたる
あとはタイミングだけど…
それ言ってる時間はなさそうだな
俺達は一斉に走り出した
あの怪獣、多分すばしっこいし頭もいい
だってあんだけでかいのに出てくるまでどこにいるか分からなかった
獲物を捉えるために背を屈めてチャンスを伺う
ラプトルかよ…!
なぁ怪獣
頭がいいならよぉ
当然、
子供を背負ってる俺んとこ来るよな
走りすぎて過呼吸になりそうだ
1番大事なタイミング言ってねぇけど、
お前なら分かるだろ?
凪砂
バンバンっと大きな銃音が2回響く
そして、怪獣が倒れた
俺の方へやってきた凪砂がそう言う
さすがは銃系のゲームやってるだけあるな
走りながらそう聞いてくる
突然、茂みの中から何かが現れて
腕に激痛が走った
痛い、
焼けるように痛い
そう言われ、自分の右腕を見た
腕は骨が露出するほど無茶苦茶になっていた
それはもうグロいなんてもんじゃなくて…
ハッと周りを見渡した
凪砂がそう戸惑うのも無理は無い
だって…
さっき動けなくしたはずの怪獣が、
目の前に居るんだから
補足
今回の小説で、火縄銃の事とか調べてみました!
火縄銃は雨などに弱い、撃ってから30秒は使えないなどデメリットがあります。
だから夢主は火縄銃を2個持ってって言ったんでしょう。
雨に弱いってとこなんですが、大目に見てください…濡れて1回限りしか使えないって設定にしたんで…
皆さん不思議に思ったと思うんですけど、なんで小屋に火縄銃があったか、
それは昔なんやかんやあってそのまま放置されてるとかそんな感じで考えてます
他にも火縄銃って発砲するまでの手順がちょっと難しいんですけど、
歴史の授業で教えて貰って、それを覚えてたって風に思ってくれたら幸いです
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!