教室から連れ出せたのはいいものの、手伝った欲しいっていうのは大森くんを助けるための完全な嘘だったわけで…
とりあえず二人で学校をうろうろすることになった。
しばらくして、大森くんが沈黙を破る。
大森くんは珍しく少し困り眉で笑う。
女子にいっぱい呼び出された挙句、そのことについて男子からも言い寄られると流石の大森くんも疲れちゃうよね。
去年までは結構静かな人だったって若井くんが言ってたし尚更。
若井くんから聞いたことを思い出す。
…やっぱりまだ引きずってるのかな。
そうじゃないとこんなに辛そうな顔にならないもん。
あんなにかっこいい曲を思いつけるだけでめちゃくちゃかっこいいと私は思ってるのに。
大森くんの見開いた目を見てハッとする。
本人から直接聞いてないっていうことはなるべく話題にあげないほうが良かったのかも…!
そもそもなんで知ってんのってなるよね…
ぅわ、完全にやらかした、…
いや、でもよくよく考えて大森くんが言って欲しくない話を若井くんが話すわけない。
若井くんもそんなに簡単に親友を裏切るタイプの人じゃないし。
焦って少し早口になりながら謝ると、大森くんは優しく微笑みながら首を振る。
こうやって二人で笑い合ってる時間が一番幸せ。
大森くんもだいぶ吹っ切れたようで、さっきの困り顔とは大違いの笑顔で笑ってくれる。
…やっぱり、文化祭誘うのは諦めようかな。
何人もの女子を断って、ここまで来てまた誰かに誘われると流石に迷惑かけちゃう。
若井くんと回るって言ってたし。
今年は執事姿を見れるだけでいいや。
同じクラスの松本くん。
席が隣同士っていうこともあって、最近大森くんと若井くんの次に仲よくさせてもらってる。
…確か女子からまあまあ人気で、休み時間に話してる時の周りからの視線が痛い。
そんな松本くんも案の定、いろんな人から呼び出されてた。
大森くんと若井くんほどではないけど。
松本くんの表情が少し曇った…気がして、
慌てて誤解を解こうとする。
松本くんはチラッと大森くんの方を見る。
大森くんは「もう大丈夫」と言うかのように微笑む。
大森くんがいなくなった後、いつも余裕ある感じなのに急に緊張したようにもじもじし始める松本くん。
切り方めっちゃ変になってすみません














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!