何度も逃げ出そうとした。
でも手首にキツく手錠を掛けられていたせいで
逃げられなかった。
だが、抵抗したのも最初だけだった。
ゴロツキ達はそっちの方が好都合だと、
以前より激しく俺を抱いた。
だが、正直その時の記憶はあまりない。
前から憲兵は来ていた。
ゴロツキ達のあまりに残酷な行為に
目を瞑りきれなかったらしい。
だが、憲兵達はいとも簡単にやられた。
憲兵達の手に負えないために、その日は調査兵団が来た。
リヴァイは全て思い出したかのように目を見開いた。
俺は瀕死に近い状態で見つかったらしい。
精神的にも身体的にもボロボロの状態で。
もうあんな事にならないようにと、
俺は女である事を隠し始めた。
髪の毛は切って、一人称も『俺』になった。
俺は不安になってリヴァイの顔をじっと見た。
ハンジとエルヴィンは静かに医務室から出ていった。
2人だけの空間。
とても重苦しかった。
俯いていたリヴァイは顔を上げた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!