マークが作ってくれたはちみつレモンを飲みながら、
やっぱ俺にはちょっと酸っぱいやって思ったり、
つーかそもそもビール飲もうとしてたのになって思ったりしたけど、
単に一緒に並んでキッチンに立ちたかっただけで、
別に横にいてくれたら、それだけで良くて。
さっき、マークが怪我した俺の指を口に含んだ時。
その迷いのなさに、
なんていうか…
この人は、
こんな俺を見境なく守ろうとしてくれるんだって思って。
結婚願望?
そんなの無いけど。
無いけどでも、
朝起きて、マークがそこに居てくれたら…
俺は脇目も振らず一目散に駆け寄って、
その長い首に両腕を絡ませて抱き締めてもらいに行くんだろうな。
それだけは、自信持って言えんのに。
ビールで乾杯した後、俺が作ったサラダとグリーンカレーを勢い良く頬張るマーク。
マークにそう言われ、さっきの風呂場でのことが蘇る。
マークが急に席を立ち、ソファの下に置いたリュックから財布を取り出し持って来た。
そう言うとマークが財布の小銭入れの中から何かを取り出して、すぐに拳の中に隠した。
そう言われ、何かくれるのかと思った俺は、手のひらを上にして左手を差し出した。
マークが俺の手を取って甲を表にし、何かを握りしめていた拳を開いた。
激しい動揺を悟られないよう必死で隠す俺を前に、
嬉しそうな顔したマークが、俺の左手の人差し指にまるでプロポーズするみたいに指輪をはめる。
そしてマークが財布からもう一個指輪を取り出し、俺に渡した。
そう言ってマークが左手をズイッと俺の前に差し出す。
照れ隠しでそう言いながら、マークの左手の人差し指に指輪をはめてやる。
夕食後、マークのおじさんのワインセラーから白ワインを出して来て、リビングでソファに座ってTVを観ながら二人で飲み始めた。
マークはいつもより機嫌が良くて馬鹿みたいにずっと笑ってて、
まるで…
まるであの日の夜みたいだなって思ってるのは、
多分俺の方だけなんだろうけど。
ふと横にいるマークを見ると、酔って顔がほんのり赤くなって、何かにうっとりするみたいに目を閉じている。
ダメだ。
つい口が滑った。
もう言うしかないか。
結局聞いてしまった。
これから楽しい夏休みが始まるっていう初日に。
もうこうなったら仕方がないと、目の前のグラスに半分残った白ワインを一気に飲み干す。
マークがソファから降り、俺の足元の床に向かい合って座った。
マークの話に呆気に取られ、頭の中がぐちゃぐちゃになっていた。
この三年間自分を責め続けていたのに、
まさか、
マークが自分から逃げた理由がそれだったなんて。
床に座ったマークが俺を見上げて、
酔って少し充血したその目が俺を捉えて離さなくて、
もう全て言ってしまった俺は、
恥ずかしくてそこから逃げてしまいたかったけど、
あの時、
マークの気持ちが俺にあったことを知って、
嬉しさと、腹立たしさと、悔しさと、
全てが混ざり合って頭の中がおかしくなりそうだった。
そう言うとマークが、
俺の両膝に手を置いた。














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。