第11話

10月30日
33
2019/10/18 10:08
これはもう、どうしようもなかった。




物理的に引き離された僕たちが、幸せになれるわけないのだと知っていた。

会いたくても、会える距離じゃない。

連絡を、とりたくても取れない。

名前と、顔と、声と、香りと、笑い方_______________。

僕たちはお互いについてそれっぽっちの情報しか、持っていないのだ。

それでも君は好いていてくれると、ずっとずっと信じてきた。僕も自身のその気持ちを疑いはしなかったんだ。

僕らは青い空だけを見た。

綺麗なものだけを自分の目に映した。

何も知らない子供のままでいたかった。



僕のクセは君を想って星を見上げることだ。

君も見ているだろうかと、無邪気に問えた僕。そして、その行為になんの感情も抱かなくなった夜。

終わりを見つけてしまったことにとても胸がいたんだ。君も同じ気持ちでいて欲しいと願ってしまってさ。

だから僕は僕たちの儚い関係と、幼さがゆえの残酷さと、縮まることの無い距離を無条件に受け入れるしか無かった。

君がくれた_______________いや、君のハーバリウムはまだ捨てられないままなのに。

アイロニーだと、泣けずに笑う。

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