乱数に「ラップをしよう」と誘われ、Fling Posseを結成してから、一週間が過ぎようとしていた。
幻太郎は相変わらず、嘘をつき続けながら、毎日を過ごしていた。
今は、幻太郎の小説の担当者と二人で次の打ち合わせをしている。
いつも幻太郎の本は幅広い年齢層に人気だった。
だから、編集部でも幻太郎への期待は大きかったのだ。
それでも幻太郎は、のんびりとペンを握っていた。
遠慮の欠片もなく、帝統がドアを開けた。
呆れ気味に言うと、幻太郎は部屋に戻っていった。
帝統は、まるで自分の家のように寛いでいる。
それが幻太郎には、時々ものすごく嬉しくなるのだ。
帝統は、屈託ない笑顔をした。
幻太郎はくすっと笑うと、「行ってきます」と家を出たのだ。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!