第46話

サユリ 第一審尋問「仮面の私を縫い付けて」
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2026/02/18 09:00 更新
         コツコツコツコツ   
サユリ
サユリ
……。
          キイィ
アイ
アイ
さて、尋問を始めましょうか。
サユリ
サユリ
はい。よろしくお願いします。
アイ
アイ
尋問の説明は必要ですか?
サユリ
サユリ
いえ。ユカリさん達から話を聞きましたので。
アイ
アイ
なら、話は早いですね。良かったです。
アイ
アイ
では最初に、仲の良い囚人はいますか?
サユリ
サユリ
はい。女性だったら、ユカリさんとナツカさんですね。男性だと、ハヤトさんとイオリくんですかね。
アイ
アイ
なるほど。監獄での生活はどうですか?
サユリ
サユリ
自由で楽しいです。他人の目を気にすることも無いですし。
アイ
アイ
環境について文句はない…と。
サユリ
サユリ
はい。ユカリさんと一緒にぬいぐるみを作ったり、ハヤトさんとぬいぐるみ談義で盛り上がったりするは、とっても楽しいです。……前みたいに、無理する必要が無いので。
アイ
アイ
学校とかですか?
サユリ
サユリ
学校もあります。家でも、ずっと。
アイ
アイ
それは…。
サユリ
サユリ
……あはは、憐れむ必要はないですよ。その道を選んだのは私なので。
アイ
アイ
……それはどういう意味で?
サユリ
サユリ
優等生を演じて、両親や周りの期待に応えて続けること。それは私が小さい頃に選んだことです。
サユリ
サユリ
……辛かったんです。友達も決められて、大切にしてた物も捨てられて、将来も勝手に決められた。ずっと、我慢してました。それが爆発してしまった。
サユリ
サユリ
……自分勝手過ぎて笑えてきました。滑稽でしょう?
サユリ
サユリ
だから、お願いします。……赦さないでほしい。
アイ
アイ
……。
サユリ
サユリ
私は赦すことだけが、救いになるとは思っていないんです。
サユリ
サユリ
私にとって、それが赦されないことだって思っただけです。
アイ
アイ
なるほど。一つの意見として受け取ります。……ですが、私は貴方達を救う為に存在しているわけではありません。……私はただ、貴方達の罪が『赦せる』か『赦せない』かを判断するだけです。
サユリ
サユリ
そうですよね。……でも、私は早く楽になりたい。自由になりたい。……それに、看守さんの考え方のままだと、死者が出ると思います。
アイ
アイ
死…者……?
サユリ
サユリ
あ、ごめんなさい!脅しみたいに……!また自分勝手に相手を……
アイ
アイ
死…者…。
サユリ
サユリ
……?看守さん?
アイ
アイ
監獄で……死者?
サユリ
サユリ
それはあんまり気にしなくても…!
アイ
アイ
……!ハァ…!
サユリ
サユリ
え、看守さん?!し、深呼吸!過呼吸になりかけてるので!
アイ
アイ
煩いッ!!!!触るな‼︎
サユリ
サユリ
えっ?
         ガタッガタン!!
サユリ
サユリ
う……いってて…。
アイ
アイ
…ハァ…ハァ…
サユリ
サユリ
大丈夫…ですか?
アイ
アイ
はい……すみません。また、忘れた記憶に触れたみたいで…。
サユリ
サユリ
そういえば、記憶喪失って言ってましたね。……すみません、私のせいで、変なこと思い出させちゃって。
アイ
アイ
いえ。多分、私に必要なことなんだと思います。だいぶ、アイに近づいて行ってる感覚がします。
サユリ
サユリ
……え?
アイ
アイ
サユリ
サユリ
誰に近づいて行ってるって言いましたか?
アイ
アイ
だから、
        ゴーンゴーンゴーン……
サユリ
サユリ
……あ、終わり、ですか?
アイ
アイ
はい。……また不祥事をしてしまいました。
サユリ
サユリ
いや、あれは私のせいです。気にしないでください。
アイ
アイ
優しいんですね。サユリさん。
サユリ
サユリ
癖なだけですよ。ずっとそうやって生きてきました。
アイ
アイ
優しい貴方がなぜ殺人をしなければならなかったのか、ちゃんと見てきます。
サユリ
サユリ
……眩しいなぁ
アイ
アイ
囚人番号八番サユリ、貴方の罪を歌って。

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