慎side
ハァっハァっ
たぶんこの時間、壱馬さん、部屋で昼寝してるだろうから…
え?
壱馬…さん?
やばい、エレベーター閉まる!
ダンッ
『んっ………?』
「何してるんですか…」
『ま、慎…』
バキッ
『ねぇ、殴らなくっても良かったと思うんだけど…
だって…RIKUさんが全部悪いわけじゃないよ…』
「……」
『あれ?聞こえてる?』
「……」
『喋らないんだったら、帰ってよ………』
「……」
『全部、聞いた…?』
「いや、聞いては…ない…
というより、勘違いだって思いたい…」
『どんな…?』
なんで、そんな安心したような顔するんだよ…
「この1年、何回泣いた?
どれくらい我慢した?」
『そんなの…分からないよ…』
『だって…どうしたら良かったの……』
壱馬さんは、俯きながら泣き始めた
壱馬side
「ありがとう、北人を守ってくれて」
北人を守ってくれて、か…
その瞬間に慎の頬を流れた涙は驚くほど綺麗だった
パチン
乾いた音が部屋中に響く
『えっ?』
「なぁんて、言うと思った?馬鹿じゃないの?」
えっ………?
さっきまでの芸術作品並みの涙はどこに行ったのかってぐらい、泣いてる慎
「なんで、いつも辛い時に側にいられないの……」
「守りたいのは、壱馬さんも同じなのに…」
「良く我慢したね、
えらいねなんて絶対言わないから…」
『ぼ、僕だって…
北人、可愛いけど、怖いし、一緒にいるところ観る
と自分が嫌な人間になるし、最悪なこともいっぱ
い考えたし…
だから……
もう、何も考えたくない….死にたい…』
「ごめんね、壱馬さん…」
『じゃあ………
今までの分たくさん甘やかしてください////…』
Fin
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。