言いながらパーテーションの中に入ってきたのは、ピアスがバチバチと派手な男性だった。
アモンはそう世辞句を述べる。ペラペラと出てくるその言葉に、相当な世渡り上手だなと察した。
マリアはチェキを5枚撮って、それからずっと使ってなかったサインペンを取り出す。
そう言って笑ったマリアに、アモンが僅かにたじろいだ。
【ラムリ お仕事ぶっとばせ☆彡.。】
マリアはチェキにそう書き込んで、アモンに渡す。
ふと、チェキを眺めていたアモンが口を開いた。
マリアはそれだけ言うと、スタッフがチェキ終了の合図を出したので彼をパーテーションの向こうに返す。
アモンはただ黙ってマリアの話を聴いていた。マリアはアモンに微笑む。
アモンが、俯く。マリアはそんなアモンを優しく抱きしめた。
パシャリと、チェキが撮られる。
アモンは時間になったため、無言でパーテーションの奥に出て行った。多分彼はもう来ないだろうなぁと思いつつ、マリアは少し憂鬱な気持ちになる。
被虐待児だったことを話したことは後悔していない。しかし少しだけ、アモンに余計なものを背負わせてしまったことを申し訳なく思ったのだった。

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!