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第1話

第1話:誘い
25
2023/04/06 15:00
中学2年の夏休みのある日。

毎年のごとく、あるいは毎日のごとく蝉が鳴きわめき、太陽の光が燦々と照り輝いている。

そんな中で私・キズナがいるのはとってもとっても硬いアスファルトの道路。

辺りに日陰は無く、そのせいかいつもより一層暑く感じられる。

勉強用具を詰め込んだ手提げ袋を持ち、汗だくでうちわをパタパタと扇ぎながら、親友・ソウタの家へと向かっていた。

もうひとりの親友・イオリもソウタの家へ向かわされているらしい。

ソウタいわく3人で宿題をしたいそうだが…

こんな暑い中での外出は御免だ。

おまけに彼の家は私の家から歩いて20分もかかるほど遠い。遠すぎる。

そもそも何故図書館ではなくアイツの家なのか。

頼むからちゃんと天気予報の気温を見てくれ…










__________やっと着いた。

謎の達成感と真夏の空の下を歩き続けた疲労を感じながら、チャイムを押す。

ピンポーン

しばしの間とともに勢いよく扉が ガチャッ と開き、Tシャツに短パンという出で立ちの親友が立っていた。
ソウタ
よっ!遅いじゃないか、ずっと待ってたんだぜ?
その言葉に僅かにカチンときてしまう。
キズナ
遅いじゃないか、だって!?めちゃくちゃ暑いの!!
ソウタ
まぁ、そうカッカするなよ
そう言った上になんと微笑まで浮かべて私を見つめてくる。

マジでなんなんだコイツ。
キズナ
まったく…
ここまでくると怒りを通り越して呆れになってしまう。

いつものことだが。
キズナ
入るね、お邪魔しまーす
そう言いながらソウタを押しのけ玄関に入る。

「俺はまだ入って良いとは言ってないぞ!」と喚いている彼を無視して靴を脱ぎそそくさと中へ。

何度も訪れているので部屋の位置は分かっている。

いつものようにリビングの扉を開けた。
キズナ
こんにちは__________って
キズナ
あれ?
いつもなら「いらっしゃい」と出迎えてくれるソウタのお母さんがいない。
ソウタ
あぁ、母さんなら買い物に行ってる
少々驚いた私をよそに、私の思ったことを読んだかのように彼は背後からそう言った。
ソウタ
作戦会議にはうってつけだろ?
キズナ
なんだよ、作戦会議って
ニヤッと笑いながら言ってくる彼に対し私は呆れてそう返す。
キズナ
イオリは?まだ来てないの?
ソウタ
うん
ソウタ
もうすぐだと思うけどな
その言葉と同時にけたたましくチャイムが鳴った。

なにやら怒鳴っている。
イオリ
おいソウタ!早く開けてくれ、こっちは熱中症なりかけだぞ!!
ソウタは「座って待ってなよ」と私に言い残し再び玄関へ行った。

お言葉通りに座って待っているとふたりが一緒にリビングに入ってきた。
イオリ
あ"ーあっつい
イオリ
アイスぐらいあるよな??
とソウタに圧をかけている。
ソウタ
いいけど、勉強忘れるなよ?
イオリ
お前が言うな
キズナ
私もアイス!
イオリに続いて冷蔵庫に向かった。

各自アイスを取り出しかじりつく。

ひんやりとした冷たさが気持ちいい。
ソウタ
てかさ、ふたりとも
ソウタ
宿題終わりそう??
アイスをかじりながらソウタがそう問いかけてきた。
キズナ
なんとかね
イオリ
終わらせなければ地獄を見るハメになる…
イオリ
説教という名の
イオリの言い方に思わず吹き出してしまった。
ソウタ
分かった分かった
ソウタ
じゃあさ
ソウタ
肝試しとか、行かない?
その言葉に私とイオリは数秒固まった。
イオリ
…は?
キズナ
肝試しって…あれだよね?お化けが脅かすやつ
ソウタ
それ以外に何があるって言うんだよ
イオリ
はぁ……
イオリが大きなため息をつく。
イオリ
どこでなんだ?
よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりの顔でソウタが口を開いた。
ソウタ
__________『幽霊屋敷』

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