陸side
家に帰ってからも
あなたと話したことだけが頭を巡って脳内を支配する
女子とこんなに楽しく話したのは初めてかもしれない
みんなが言う通り、あなたは顔が可愛くて
見つめるだけで照れそうになる
だけど、それよりももっと魅力がある
あなたは話してる人を楽しませられる
すごい才能だと思った
俺なりに勇気を出してプライドも捨てて
dmでこう聞いた
「明日も帰れる?」
夜中の23時くらいに送ったら
10分も経たないうちに返信が来た
『明日は他の人と帰るんだ〜』
『ごめんね申し訳ない🥺』
こうやって、
簡単にいかないところから“あなた”を感じる
俺が頑張ってもあなたは一筋縄ではいかない
「全然大丈夫」
「こっちこそ急にごめん」
静かな夜の部屋の中で1人、
こんなに脳内をあなたでいっぱいにして
悩んで、何してるんだ自分
帰り道
あなたが他の人と約束してなかったら
今頃隣を歩いてたのになと思いながら帰る
「そうなんですね!笑」
ふと、聞き覚えのある声がした
頭が瞬時に、これはあなたの声だと理解する
近くの家の塀に隠れて、後ろを見ると
それはやっぱりあなただった
あなたの隣を歩くのは、サッカー部の男の先輩だ
『今度部活見に来てよー笑』
「見に行けるんですか?」
『うん、もちろん。いつでも』
『え来てくれんの?』
「見にいきますね!!笑」
『まじ?ありがとう笑笑』
『ガチで可愛いね笑』
「えぇ?めっちゃ急ですね笑」
はっきり聞こえてくる会話
先輩は完全にあなたを狙ってる
どうしようも出来ないのに、
なんか悔しかった
『好きって言ったらどうする?』
「せ、先輩がですか?」
『うん笑 まじでタイプ』
「嬉しいですけど〜笑」
『笑笑』
「あ、私ここ曲がるので!、」
『あほんと?気をつけて』
「ありがとうございます!」
『また帰ろうね』
「ぜひ!、笑」
そんな声が聞こえた
足音は自分の方に向かってきている気がする
あなたがこっちに曲がってきたと分かった
ただ塀から出て立ってただけなのに
思ったより大きな声で驚かれて
こっちの方がびっくりした
いつもは髪の毛を下ろしているあなた
今日はひとつに高く結んでる
初めて見た姿に、心臓がうるさくなる
下を向きながらそう話すあなた
急に図星な事を言われた
俺が盗み聞きしてたことがバレてたなんて
明るく笑ってるあなただけど
目の奥は怖がってて、悲しそうに見えた
あなたが、ふわっと笑うその時
俺の方まで笑顔になった
昨日より、簡単に「可愛い」って言えなくなった
もっと君に本気になってしまったみたい
可愛いのにどこか抜けてて面白くて
そんなあなたの性格を、これ以上知ってしまったら
戻れなくなりそう
でも、同じ初対面の俺とさっきの先輩なら
俺との方が仲良いよね?
そこに少しの期待をしてしまう
けど、その期待は勘違いじゃないかも
俺の目を見てお願いしてくるあなた
ただでさえ、見つめられたら耐えられないのに
もうこれが
あなたに振り回されてるだけだとしても幸せだった













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。