人の懐に入り込むのが上手い彼は、すぐに私の生活圏にも入り込んできて。
朝は私の席で寝て、昼休みは屋上で過ごし、放課後もなんだかんだ帰宅部同士駅まで一緒に帰ることも増えた。
人気者の彼のことだから、私たちの距離が近づいたことだってすぐに知れ渡るわけで。
"最近あなたの名字さんと中村くん仲良いよね!"
"もしかして付き合ってるとか!?"
にこにこと笑っている表情の裏に、なんでお前が、と探りを入れようとしているのが透けて見える。
ちょっと仲良くなったからってなぜこうも恋愛に結びつけたがるのか、心底呆れてしまう。
『そんなわけないじゃん〜!私が友達いないからかわいそうに思ってるだけだよ』
"え〜そんなことないでしょ!"
ほら。安心した表情。
私は彼といるべき人間じゃない。
人気者の彼と、ぼっちの私なんて関わるはずのない人種のはずなのに。
関わるだけ面倒なことに巻き込まれる、ちゃんとわかっているから、これまでも、これからも一人でいるつもりだった。
なのに、いつの間にか君が入り込んでくるから。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!