目を覚ますと体は汗だらけだった。
不思議だ…あの不思議な…あの夢はなるべく見たくない。
するとノックの音が聞こえた。
「あなたちゃん?入るよ?
昨日はゆっくり眠れた?」
悪い夢を見たような気がするから、本当にゆっくり寝たとは言い切れないけれど、まぁ寝れたし…いっか。
「うん。」
するとにこっと彼女は笑った。
「じゃぁ制服に着替えて朝ご飯食べに行こう。制服…クローゼットの中に入ってるはずだから。」
クローゼットにあった制服を着て、共同スペースに行く。
「似合ってるよ!」
なんて、彩さんに言われたものだから少し恥ずかしい。
食事は自分で好きな量を取るらしく、彩さんは大量に乗っけていて、それを私よりも早く食べ終えるから驚いた。
部屋に戻り、準備をして案内してもらおうと廊下に出たとき。
「あ、彩だ。水月ちゃんも。」
「朱音先輩、愛奈先輩!おはようございます。」
「おはようございます…」
朱音…先輩、と愛奈先輩が前から来た。
ザワッと周りがざわつき始める。
『見ろよ。トップだぜ…』
『まさかあの一年って、自然能力の子じゃない?』
『隣にいるのは誰?』
『転校生?』
『あの子の隣にいるって事はあの子も自然能力なのかな…?』
「ちょっと場所変えよう。談話室に行こうか。」
愛奈先輩がそう提案し、場所を移動した。
談話室は部屋に絨毯がひいてあり、本棚が片方の壁一面にあった。その部屋にはピアノも置いてあった。
「ここには、隊員しか来れないから。
水月ちゃんもいつ来ていいよ。」と言われた。
「で、朱音先輩方。何かあったんですか?」
絨毯の上に座らされ、話を聞く。
「なんか、侵入者がいるらしいんだよ。」
「え⁉あの警備をくぐり抜けてきたんですか?」
愛奈先輩はうなずく。
「私たちの生徒情報が漏れると痛手を負うことになるから…そして、転校生である水月ちゃんの前に現れると、襲われることにもなる。だから私たちが護衛に着くことなった。」
護衛…?
けろっと衝撃的事実を話され、頭がついていかない。
「と言うことで今日1日はずっと一緒にいるよ。よろしくね。」
と言われ私は「よろしくお願いします」と言わざるを得なかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。