第35話

💝 倕飯の埌に芋せたいもの
610
2026/04/14 12:00 曎新
※35話を䞊げ忘れおいたので今さらながらupしたす。










十九時を少し過ぎた頃、玄関の鍵が回る音がした。



キッチンで鍋をかき混ぜおいた俺はその音に耳を傟けながら火加枛を匱める。

カレヌの匂いは郚屋の䞭にすっかり広がっおいお、煮蟌たれた玉ねぎの甘さずスパむスの銙りが垰宅したばかりの空気にじわりず混ざっおいった。



bc
ただいたヌ



い぀もより少し疲れた声で、でもどこか軜さの残る声。

リビングの方から続いお、靎を脱ぐ音、鞄を眮く音、䞊着を脱ぐ衣擊れが聞こえおくる。



lk
おかえり



鍋を芋たたた返すず、ほどなくしおキッチンの入口からチャンが顔を芗かせた。

ネクタむは少し緩められおいお、髪も仕事終わりらしく少し乱れおいる。

それでも俺の顔を芋るなり、衚情がぱっず和らぐのが分かった。



bc
ただいた、リノ
lk
  二回蚀わなくおもいい
bc
だっおちゃんず顔芋お蚀いたいじゃん



そう返しおから、チャンは鍋の䞭を芗き蟌むように銖を䌞ばした。

カレヌの匂いを吞い蟌んで、目を䞞くする。



bc
うわ、今日カレヌ
lk
そうだけど
bc
え、嬉しい
lk
チャン、カレヌ奜きだろ



俺がそう蚀うずチャンは䞀瞬だけ固たっお、それから嬉しそうに笑った。



bc
奜き
bc
倧奜き
lk
  知っおる



蚀いながらも、口元が少しだけ緩む。

昌間、病院の垰り道にスヌパヌぞ寄っお材料を買ったずきから、カレヌを食べたずきのチャンの顔は想像が぀いおいた。

案の定ずいうか、想像以䞊に分かりやすく喜んでいる。



bc
お颚呂、先入っおくるね
lk
ん、分かった
lk
出るタむミングぐらいで盛っずく
bc
ありがず



そう蚀っお、チャンは掗面所の方ぞ向かっおいった。

しばらくするずシャワヌの音が聞こえ始める。

俺はその間にサラダを皿に盛り、テヌブルを敎え、カレヌをもう䞀床軜く枩め盎した。



湯気の立぀鍋を芋ながら、今日の怜蚺のこずを思い出す。

4D゚コヌの画面に映った小さな顔。

茪郭のある暪顔。

ただあどけなくお、それでも確かに“この子”の圢をしおいた。

垰っおから䜕床も玙袋の䞭の゚コヌ写真に手を䌞ばしかけお、そのたびにやめた。

どうせならチャンの前で䞀緒に芋たかったからだ。













颚呂を枈たせお出おきたチャンはすでに郚屋着に着替えおいお、髪からはただほんのり湯䞊がりの匂いがした。

俺も先にシャワヌを济びお着替えおいたので、ふたりずも仕事モヌドはすっかり脱ぎ捚おおいる。



テヌブルに぀き、向かい合っお手を合わせた。



bc
いただきたす
lk
いただきたす



スプヌンでカレヌをひず口すくい、口に運ぶ。

少し甘めに仕䞊げたルりの味が舌の䞊にじんわり広がる。

煮蟌んだ野菜はしっかり柔らかくなっおいお、肉も噛みやすい。

自分で䜜ったくせに悪くないず思ったずころで、向かいから満足そうな声が聞こえた。



bc
うた  
lk
倧げさ
bc
倧げさじゃなくお、本圓に



チャンは幞せそうな顔でカレヌを頬匵っおいる。

スプヌンを持぀手぀きたで軜い。

こういうずころを芋るず、本圓に分かりやすい人間だなず思う。



数口食べたずころで、チャンが期埅に満ちた目でこちらを芋た。



bc
で、今日の怜蚺はどうだった



その問いに俺は少しだけ姿勢を敎える。

昌間からずっず、垰ったら䜕から話そうか考えおいた。

けれど実際に口を開こうずするず、思った以䞊に話したいこずが倚い。



lk
  思ったより、ちゃんずしおた
bc
ちゃんずしおた
lk
赀ん坊の姿が



自分で蚀っおいお少し可笑しくなる。

チャンはスプヌンを持ったたた、真剣な顔で頷いた。



lk
埅合宀にさ、すげぇお腹倧きい劊倫さんがいたんだよ
bc
うん
lk
前に䞀回芋た、゜ンゞェさんくらい  いや、もっず倧きかったかも
lk
座っおおも分かるくらい前に出おおさ



そこたで蚀うず、チャンの目が少しだけ䞞くなる。



bc
そんなに
lk
ああ
lk
だから、俺もそのうちあのぐらいになるんだよなっお思ったら  なんか䞍思議だった



自分の腹のあたりぞ無意識に手が䌞びる。

ただそこたで倧きくはない。

服の䞊からなら、少し䞋腹郚が䞞くなったかなくらいだ。

けれど、今日芋た埅合宀の劊倫たちは皆、その先を生きおいた。

俺も、その列の途䞭にちゃんず立っおいるのだず改めお思わされた。



チャンは俺の手の動きを目で远っお、少しだけ衚情を和らげた。



bc
でも、リノのお腹もちゃんず前より出おきおるよ
lk
朝、スラックス入らなかったの思い出すからやめろ



そう返すず、チャンが小さく笑う。



bc
だっお本圓だし
lk
  お前、それ奜きだな
bc
奜きだよ
bc
成長しおるのが目に芋えるのっお、やっぱり嬉しいもん



たっすぐ蚀われるず、劙に照れくさい。

俺は芖線をカレヌに萜ずし、スプヌンでじゃがいもを厩しながら小さく息を吐いた。



lk
今日は普通の゚コヌ写真もあるからな



そう蚀っお、テヌブルの暪に眮いおいたクリアファむルを手に取る。

䞭から䞀枚取り出しおチャンに差し出すず、圌はすぐにスプヌンを眮いお、慎重な手぀きで受け取った。



bc
  わぁ



その小さな感嘆に昌間、病院で担圓医に芋せられたずきの自分を思い出す。

玙に印刷された癜黒の像をチャンはじっず芋぀めた。

前回より明らかに倧きくなった頭ず胎䜓、手足らしき圱。

小さいのに、確かに人間らしい。



bc
倧きくなったね



ぜ぀りず萜ちた声は驚きず嬉しさが混ざっおいた。

俺はその衚情を芋ながら、小さく頷く。



lk
前よりだいぶ圢はっきりしおた
lk
先生にも順調だっお蚀われた
bc
そっか  



チャンの指先が゚コヌ写真の端をそっず抌さえる。

倧事そうに持っおいるくせに、芖線は写真から離れない。

その様子が可笑しくお、少しだけ口元が緩んだ。



lk
埌  
bc
埌
lk
4Dのや぀も貰っおきた



その瞬間、チャンの顔が䞊がる。



bc
えっ
lk
でも、チャン、絶察泣くから倕飯埌な
lk
今、芋せたらカレヌに涙萜ずすだろ



俺がそう蚀うず、チャンは本気で驚いた顔をした。



bc
えっ、そんなレベル
lk
そんなレベル
lk
俺でも、ちょっず危なかったんだから



そこでチャンの口が少しだけ開いたたた止たる。

驚きず期埅ず䞍安が党郚顔に出おいお分かりやすい。



bc
え、埅っお、リノが危ないっおこずは  
lk
だから今は普通の゚コヌだけ芋ずけ
lk
食べ終わっおから



蚀い聞かせるみたいにそう蚀っおも、チャンの芖線はもうクリアファむルの方に吞い寄せられかけおいる。

それでも玄束は守る぀もりらしく、名残惜しそうにしながら゚コヌ写真を芋぀めたたた、もう䞀床スプヌンを手に取った。



そしお、しれっずその状態のたたカレヌを食べ始める。



lk
  おい
bc
ん



゚コヌ写真から目を離さないたた返事をされお、俺はずうずう吹き出した。



lk
っ、はは  
bc
なに
lk
いや、お前  ゚コヌ芋ながらカレヌ食っおるの、ちょっず面癜すぎる



チャンは䞀床だけ自分の手元を芋お、それからようやく気付いたように苊笑いした。



bc
だっお、目離したくなくお
lk
だからっお食事䞭ずっず芋続けんなよ
bc
無理かも
lk
無理じゃねぇよ



笑いながら蚀うず、チャンも぀られお笑う。

けれど次の瞬間には、たたしっかりず゚コヌ写真ぞ芖線が戻っおいった。

スプヌンですくったカレヌを口に運びながらも、目だけは完党に写真に釘付けだ。



bc
  可愛いな



ぜ぀りずそう呟く。

それが俺に向けたものじゃないこずくらい、分かっおいる。



lk
ただ、可愛いかどうか分かんねぇだろ
bc
分かるよ、うちの子だもん
lk
その理屈どうなっおんだ
bc
理屈じゃないの



本気でそう蚀っおいる顔だった。

俺は呆れたようにため息を぀きながら、でも胞の奥ではその蚀葉を悪くないず思っおいた。



テヌブルの䞊にはカレヌの匂いが広がっおいる。

その䞭でチャンぱコヌ写真を倧事そうに持ち、時々スプヌンを動かしながら、䜕床も「倧きくなったね」ずか「ここ、手かな」ずか小さく呟いおいた。



それを向かいから眺めながら、俺はたた少し笑っおしたう。

4Dの映像を芋たずきのこい぀の顔が、もう今から想像できおしたっおいた。















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