夜、いつものように過ごしていつものように就寝しようと窓に手をかけた時、月が満月なことに気づいた。私はその美しさに息を飲み、カーテンを閉めることを忘れ窓を開ける。
上着を着て外に出る。上を見上げれば落っこちてきそうなほど大きな月がそこにはあった。森の中、ましてや人もほとんどいないこんな山奥に私は住んでいる。いい事もあれば悪いこともあるけれど、ここを私はとても気に入っていた。
ふと、目の端に森の中とは思えないものを見つける。
そこにあったのは間違いなく、封筒に仕舞われた手紙のようなものだった。その近くにはバラが置かれている。綺麗に切り取られたのだろう、ハサミで切ったように花の茎がスッパリと切れている。
ふふっと笑いながら手紙をしまい家に戻る。部屋の中で丁寧に花を活け、手紙を開けた。中には小さな白い紙が1枚だけ。ペラッと捲り文を読んだ
達者とは言えないがとても丁寧な文が添えられていた。微かに手紙から森の中の匂いがする。手紙にある通り森の中で生きてきたからだろうか。私は直ぐに手紙を返すことにした。この歳になっていい人と呼べるような相手はおらず、独り身のままな私が楽しみと呼べるものを見つけたような気がした。
少し長めになってしまったがそれでも自らの心の内を表すかのように、字が出てきたのだ。私は庭に咲いていた綺麗で小さなお花を1輪添えて、手紙が置いてあった場所に置いておく。そうすれば、見に来てくれた時に気づくと思ったからだ。
私はドキドキと跳ねる心臓を抑え家の中に入る。ベットに寝転がれば、まるで遠足前の子供のように眠ることができなかった。カーテンを閉め目を閉じて、明日のことを考える。これから何かが変わると願って。
続く















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。