♯19 タメ口
クッパの店を出るなり
私に感謝を伝えてきた
雪の降るソウルの街を歩きながら話していると
イリノは急に足を止めた
赤と白のネオンライトが
街を照らしていた
そう言って再び歩き出すイリノ。
今の言葉の意味が気になって
走って追いかける
イリノの忠告を受けたときにはもう遅く
私は滑って転けていた
心配しているのか煽っているのか
地面に横たわる私に手も差し伸べない
怒る気も失せ、ゆっくりと立ち上がる
やらかした、と思ったが
イケメンなのに変わりはない
私のコートについた雪を払ってくれるイリノ
さっき転んだところがじんじんと痛む
これ俺のカトク、と言って
スマホ画面を差し出すイリノ
猫のアイコンに 入野 と入れられた名前
じゃあな、と手をひらひら振って
街の中に消えていくイリノ
気がつくとそこはソウルの駅で
無駄に紳士なところか気色悪い
…
♡×50→next















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。