お兄ちゃんの名前は、あなたの名字悠誠(ゆうせい)です。
遡ること、2年前……
士官学校を卒業し、本格的に入隊する前に兄様はわたしたちのいる故郷に帰ってきた。
家を出る前より立派になっていた兄様は、その帰省中に病にかかった。
結核だった。
兄様の士官学校で鍛えた腕は見る間にやせ細り、だんだん食事も取れなくなった。
あの苦しそうな咳は今でも耳にこびりついている。
布団からはみ出た手を握りしめたわたしに、兄様は言った。
それが全ての始まりだったに違いなかった。
兄様はわたしにひとつだけ頼み事をした。
兄様がこんな頼み事をするのには理由があった。
わたしの家は貧しかったのだ。
だけど兄様が軍隊に入れば、その給料でなんとかやって行けるはずだった。
だけど兄様はもう長くは生きられない。
はい、と頷いたわたしに笑いかけた兄様に、いま思うことはひとつだけ。
…
…
……いや無理あるやろ!!!
士官学校出てないんよ???????
わたしなにも知らないよ???????
なんでいけると思たの???????
わたしがまな板だから???(((((
でもその疑問を消費する前に、兄様は死んでしまった。
そういうわけで、わたしは今、兄様の代わりにここ第七師団の屯営所に行くことになってしまったのだった。
一難去ってまた一難とはこのことか。
勘がいいやつ多すぎやん…
ここが風呂場、こっちは厠、あそこが宿直室、などと尾形さんは割と丁寧に説明してくれる。
なになになになになんですか??
すごい顔で睨んでらっしゃる、この宇佐美さんとやら…
2人がしぶしぶ(?)部屋を出ていくと、鶴見中尉はこちらを向く。
鶴見中尉がそう言うと、執務室のドアがノックされる。
入ってきたのは、
えめっちゃ厳しい人だ
月島さんとかいう…












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。