また襲ってきた2度目の酷い大雨も終え、雨雲が向こうへと移動する中…一人の少女がある光景に絶句していた。
目の前に広がっている血まみれに、乱れた土。まるで誰かが必死にもがいたみたいだ。
空色が見え、太陽も顔を出した下で、少女…いや、フィオナは溢れ出す吐き気を必死に抑えた。
どこに行けばいいのか分からない垣根の迷路を何時間も歩き続けて見つけたこの殺風景な道。
大雨のせいで少し薄れているけど、大量の血を流していたのが分かる。
カルロスとドロシー、早速2人が出会って殺し合いを始めたのか、或いは狼に襲われたか……。
そんなことも考えたが、違うと分かるモノを見つけてしまった。横の垣根に突き刺さっている大量の矢だ。
垣根に突き刺さってある矢に、銀色の髪の毛が絡めてあるのをフィオナは見つけた。その髪の毛で、この血は誰なのかを分かってしまった。
入り口前で真実を知って涙を流すドロシーの姿を想起する。
目の前にある血溜まりは、ずっと向こうに続いていた。きっとドロシーは、血を流しながら歩いていったんだろう。
どうする?きっと今ドロシーは大怪我で動けない状態だ。
今、血痕を追っていけば…ドロシーを確実に《殺せる》。
フィオナは、1歩1歩と罠に気をつけながらも慎重に血痕を辿って歩き出した。
血痕は、行き止まりの右へと続いていた。
恐る恐る右へ曲がって見ると、そこには雨のせいで綺麗さっぱりに洗い落とされた道が続いていた。血痕は少しも見当たらなかった。
フィオナは、咄嗟に力が抜けて腰を下ろした。
右手には、よく出来た重たい短剣がある。
鞘を抜いてない短剣を胸に当てて、フィオナは声を殺しながら泣き出した。
そんな自分が悪魔のように思えてきたのか、吐き気が一気に襲ってき…フィオナは吐いた。
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雨音が止んで暫くしてから、ドロシーは静かに小屋のドアを開けた。
幸い、雨のお陰で血は綺麗に洗い落とされたようだ。これで、狼も2人も血を辿って追いかけてくることは無い。
怪我した右腕からまだ痛みを感じる。だが、痛みが酷すぎて逆に麻痺しているようにも感じる。
それでも短剣を握って進まないといけない。
空を見上げるが、雨雲は無くなっていて青空が広がっていた。いま何時ぐらいかは分からない。
また1歩1歩ずつ、狂ってしまいそうな迷路の中を当てもなく歩き出した。
敵だらけで味方もいない今、一瞬も油断は出来ない。
罠に気をつけながらも歩いていたら、もう夕方になっていた。顔を見上げると、赤色に染まった空が広がっていた。
フィオナ、カルロスもこの空を見ているのかな?
生きているのかも、死んでいるのかも……。何処にいるのかも分からない。
それなのに、不思議と私は落ち着いていた。まるで小屋の中に何かを置いてきたかのように。
薪とか火を起こすものを見つけないと、夜はより怖い。
まだ物資箱を見つけてないことに焦りを感じたドロシーは歩く足を早めた。
無我夢中に探していると、迷路の行き止まりに木の箱を見つけた。
駆け寄ってその箱を開けると、間違いなく物資箱で合っていた。中には、3個のパンと水。薪にマッチ、布団まで入っていた。
行き止まりの為、攻めてくるとしても一本道だけだ。そっちの方が助かる。見張る範囲が狭くなってより良い。
しかも今のワタシなら、殺られる心配も無さそうだし。
ドロシーは、ここで休むことに決めた。薪を積み重ねて火を起こした時はもう薄暗くなっていた。
夜になると、気温も下がり…昼では想像できない程の寒さが襲ってきた。
考えただけでゾッとする。ドロシーは、布団と焚き火で身体を暖めてパンを半分食べた。
その時、ドロシーはハッと気づいた。
ドロシーは、勢いよく立ち上がり…周りを眺めた。
空高く煙を起こしてしまったのならば、遠くからでも誰からでも!ワタシが今どこにいるのか分かってしまう。
でも、逆にこっちからも向こうの居場所が分かる!
この寒さだ、向こうも物資箱を見つけたのならば焚き火を起こさないわけが無い。
ドロシーは、目を細めながらぐるぐると垣根越しの向こうの様子を探した。煙が2つあれば 2人ともまだ生きているって分かる!
…一つだけ、西の向こう側に小さな煙が上がっていた。
そこにいるのは誰か。カルロスなのか、フィオナなのかは分からない。
向こうまでには、まぁまぁ距離があった。多分、今夜互いにその元へ向かっても出くわすことはないだろう。
何回も見回したが、ドロシー以外に煙を上げていたのは1人だけだった。
つまり、カルロスとフィオナのどちらかはもう……死んで…
バシッ!と自分で頬を叩いた。
きっともう1人は、物資箱を見つけてないだけ。死んでないわ。
勿論、返事も教えもしてくれない。
向こうも自分と同じように、ただ煙をあげているだけだった。きっと向こうの誰かもドロシーと同じことを考えているんだろう。
色々と半信半疑になってしまっている今、あらゆる可能性を考えてしまう。そして、怖くなる。
ドロシーは、残ったパンと水を袋に入れて焚き火を消した。
冷えてしまう前に、布団の中に入って身体を丸めた。細い短剣を抱えながら、ワタシは目をつぶった。
満月が照らす夜の下、そう小さく少女は呟いた_____。
『あなたは、だぁれ?』
『貴方はワタシ、ワタシは貴方。』
『変わらないといけない時が来たの_______。』
この言葉で少女は、同じ顔をした少女の手をとった。
『おやすみ、ワタシ。』














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。