第12話

episode11
388
2025/04/20 01:58 更新
リノ
鍵、空いてた。
   先輩がそう言って、小さな扉を押し開ける。

     そこから広がる、夜の校舎の屋上。
       ほんの少し肌寒い夜。

    だけど、思ってたよりずっと静かで

       落ち着く場所だった。
リノ
すご...星、意外と見える。
       先輩が空を見上げて呟く。

     僕もその隣で同じように夜空を見た。
スンミン
ねえ、ここ来たかったんですか?
リノ
うん。なんか、2人で誰にも見られないところいいなって思って。
      ふふっと笑った先輩の横顔。

     暗がりに少しだけ照明が当たって
       なんだかドキッとした。
スンミン
じゃあ、ちょっとだけ、ここは僕らの場所ってことで。
リノ
期限付きの恋人同士の、秘密の屋上?
スンミン
うん。...そういうのちょっと憧れてた。
言った後、照れてしまって目を逸らす。

でも、先輩はまっすぐこっちを見ていた。
リノ
ねえ
リノ
スンミナ。
スンミン
ん?
リノ
今、演技してない?
    その問いに胸が少しだけ痛くなった。

       でも、すぐにうなづく。
スンミン
...してないですよ。少なくとも今は。
リノ
....そっか。
     それだけで嬉しそうに笑うから、

 ”この時間をちゃんと大切にしたい”って思えた。


  2人並んで、鉄柵にもたれて夜空を見上げる。
リノ
...風冷たくない?
スンミン
ちょっと。
でも先輩と一緒だから大丈夫です。
      それは、きっと演技じゃない。

       僕が自然にこぼした本音。
リノ
そっか。ならよかった。
  先輩がポケットからそっと僕の手を探してきて、
         
          軽く触れた。

    その暖かさにまた胸がきゅっとなる。

  この手をもっと自然に握れる日が来たらいいな。

    
     そんな願いが星空に溶けていった。
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