Chapter.1
ー生きたがりのブルー・ノイズー
ピンク色のドアを開いてくれた幽楓ちゃんに続き、
私たちは廊下の方を覗く。
……誰もいない。でも、どこかから
笑い声が聞こえてきた。
幽楓ちゃんが、トントン、というノックをしても、
どうやら中にいるみんなは雑談に夢中に
なっているみたいだ。
中には4人分の個室があり…
少し開いている奥の扉から、楽しげな
笑い声が聞こえているのだった。
お邪魔しました、と呟いて、
次は隣の青色のドアをノックしてみる。
……シーン、としていて、何も聞こえない。
隣の部屋との落差が凄い。
でも、微かに物音がして…そのドアが、
小さく動いた。
チラリとこちらを見た後、またドアは閉じられた。
……閉じられた……。
…と思いきや、また開いて、そこには違う人がいた。
そしてまたドアが閉じられる。
……閉じられる……。
…と思いきや、また開き、また違う人がこちらを見る。
控えめに手を振る2人に見送られ、
桃雫ちゃんが赤色のドアを見た。
今のところ、会ってない人がここに居るのだろうか。
もう一度ノックをして、声をかけてみる。
先程出会ったとは思えないほどの距離感で、
完堂くんは聖華ちゃん、ヰ憑くん、無響ちゃんを
ガッと抱き寄せて、ニコニコと笑っている。
呆れ、不快、驚きの表情を浮かべる3人を見て、
少し微笑ましくなった。
聖華ちゃんの言葉で後ろを振り向くと、
モノメント、と名乗っていた女の子が、
少し眠そうな目でこちらを見ていた。
腕には、青と赤が混じって紫色になった
クマのぬいぐるみを抱えている。
モノメントちゃんは、とてとて、と
オレンジ色のドアに近づき、するりと
部屋の中へ入っていった。
不用心に開けられたままのオレンジ色のドア。
私たちは、目を見合わせた。
モノメントちゃんの後を追って
私がオレンジ色のドアをくぐった途端。
バチン! と何かが弾けるような
音がした。
完堂くんの一声で、私たちは全員動きを止める。
先程まで笑い声が聞こえていた集会室の
ドアが開く。
そこには、青色が無くなり、赤色だけになった
クマのぬいぐるみを持ったモノメントちゃんが、
少し目を赤くして立っていた。
少しの躊躇いもなく、ヰ憑くんは
モノメントちゃんの横をすり抜け、
その先の扉を覗いた。
……動きが、ピタリと止まった。
私も恐る恐る近づいてみる。
…先程までの楽しげな雰囲気は消えていて、
そして、床を見つめる3人がいた。
完堂くんは、バッとモノメントちゃんの方を
振り向いた。
真っ赤なクマを抱きしめ、モノメントちゃんは
完堂くんを睨んでいた。
そう言って、目に涙を溜めたモノメントちゃんは、
その場から走り去っていった。
オレンジ色のドアが、微かに人間味のある
動きをした。
……ちょっと、この短時間の間に色々ありすぎて、
情報量の多さに驚くけど……
とりあえず、みんなが個性豊かな事と、
モノメントちゃんはちょっと怖い事が分かった。



































































編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!