これは分かりきっていたこと 。
心の中で整理は着いていたはず 。
…なのにどうしてあなたのことが頭に浮かぶの…?
ずっと一緒だと思ってた 。
幼なじみでもあったし、良き仕事仲間でもあって 。
もちろん喧嘩もして、でも同じくらい笑いあって 。
そんなあなたとの別れの時がやってきた 。
突然すぎて驚きを隠せなかった 。
でもそんな心の内を知られたくなくて、動揺を隠していた 。
堪えていた涙がいつの間にか頬を伝って、1粒、また1粒とアスファルトに丸いシミを作っていく 。
その優しさに私は惚れたんだよな 。
そう、改めて実感した 。
女性陣は顔だけで近寄ってくる 。
だけど、ウォヌはどちらかというと塩な性格だからすぐに離れていく 。
そんな時に私はウォヌの幼なじみでよかったなと強く感じる 。
彼の良さを誰よりも知っていると思うから 。
それなのに私もあなたから離れなければならない 。
確かに彼はエリートで仕事もできるし、上司も同期も後輩ですら、ウォヌが出世して海外に進出することを確信していた 。
私だって、わかっていたはずなのに 。
あぁ、ダメだこのままじゃ歯止めがきかなくなってしまう 。
早く離れなきゃって思うのに離れられない 。
どうしたらいいのか分からず、ただ涙を流しながら立ちつくしていた 。
ウォヌの顔なんて見れなかった 。
見たらもっと一緒にいたくなる 。
きっとこれが最後の会話になるだろう 。
きっとウォヌが旅立つ日に、私は立ち会えない 。
ごめんね、でもこれしか私にできることはない 。
きっと向こうに旅立ったらあなたも私のことを忘れてしまうもの 。
それなら私もあなたを忘れなきゃ 。
この言葉は空の彼方へと消えていった 。
"わかりきっていたこと"
Fin














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!