出てきたのは
素朴なショートケーキだった
昔から冴えない私だった。
両親からも友達からも高校の先生からも
そして彼からも
"おとなしい"という言葉を言われ続けてきた。
"おとなしい"のほんとの意味を私は知ってる。
つまらない
私はずっとつまらない子だった。
私からはいつもいつも大切な人が離れていく。
つまらないからつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらないつまらない
わかってんのにな
今日彼に言われた。
「別れよう」
だってさ
彼のためにこんなに準備したのに。
メイクだってファッションだって勉強したし
プレゼントも
今も持ってる二人分の、真っ赤な苺が乗った美しいケーキも
全部今日の為に
それなのに
「別れよう」だってさ
笑っちゃうね。
出されたケーキを一口食べる。
本当だったら彼と食べるケーキ。
ショートケーキは口のなかでふんわりとけた。
生クリームのなめらかな甘さと苺の酸味がハーモニーを奏でる
真っ白なクリームの上の真っ赤な苺は彼に似ている。
誰よりも目立って輝いてる
私と正反対な彼に
この後はご想像におまかせします
誤字があるかもしれません
甘いものが好きな中学生の戯言に付き合ってくださりありがとうございます
これからもよろしくお願いします
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。