
※名前の横の数字はクラスのことです!
『また遅刻か? そろそろ生徒指導入るぞ』
誰のせいなの?
『響さん、自由人すぎ! もっと他の人に合わせなよ』
きっと、私のせい。
『申し訳ないけど、うちもお店だからさ』
ごめん、ごめんなさい。
私の努力が足りないから。私の能力が劣っているから。
だからまだ、見捨てないで____
早くなった鼓動を落ち着けるために、ゆっくりと息をする。
赤くなりかけた瞼は、ひどく乾燥していた。
大丈夫、大丈夫だから。思い出す必要なんてない。
寝ぼけていた頭が急にシャキッとして、ベッドの近くにあるスマホを手に取る。
そこには『4/29 WED 11:20』の表記。・・・・・・そういえば今日、ゴールデンウィーク初日だった。
ここは二度寝するべきか、スマホの通知を見るべきか。
数秒間悩んだ末に、いつメンでのグループLINEの通知があったためスマホを開くことにした。
え、私今日遊びに行く用事あったっけ!?
そう思いカレンダーを確認しても、予定が入っているようには見えない。そんな記憶もないし。
____ってことはもしかして、レイラーさんが勝手に決めてる!?
みるみるうちに、誰かのメッセージで画面が溢れかえる。こうなると止まらないんだよな・・・・・・と、思わず苦笑する。まあ私も人に言えないか。
・・・・・・というか、メテヲさんと同じく私もさっきまで寝てたとは言いづらい。
とりあえずスマホの電源を切ったあと、洗面台へダッシュで向かう。
____どうしよ!? 急に好きな人と遊びに行くことになっちゃったじゃん!
なんて焦りを抱えながらも、必死に服とメイクを決めようと頭を働かせる。
髪長いからセット面倒なんだけど・・・・・・!
なんて愚痴を零していると、下の階から「流音、起きてるのー?」と間延びしたお母さんの声が聞こえてきた。
昼食はいらないと得意の大声で伝え、自分の部屋に戻る。
クローゼットの扉を開くと、この前ちょっと奮発して買ったお気に入りのワンピースが目に入った。
女の子らしいレースのついた、でも裾は広がりすぎず大人っぽい白のワンピース。
これにデニムジャケット合わせたらいい感じかも・・・・・・? と試しに着てみると、案の定ばっちりだった。
現在時刻は11時45分。家を出るのは10分前でも間に合うので、あと35分で準備を終わらせれば大丈夫だ。
気合い入れすぎって思われても嫌だし、動いても崩れにくい髪型にしよう。
ストレートアイロンも使いながらヘアセットを終わらせ、大慌てでメイク道具を並べた。
化粧下地にもなる日焼け止めを最初に塗り、ピンク色をふわりと頬に乗せていく。
仕上げにリップクリームを唇に色付ければ完成だ。
独り言のように呟き、道具を机の端に寄せた。片付けは・・・・・・帰ったあとでいいか。
部屋のドア付近にあるポールハンガーを前に立ち止まったあと、そこからピンクベージュ色のミニショルダーバッグを手に取った。
12時20分。丁度いい時間だ。
玄関から弾んだ声でそう告げれば、お母さんに「今日は時間には間に合いそうなの?」と心配そうに訊かれる。
・・・・・・確かに、珍しいかもしれないけれど。そんなこと言わなくていいじゃん。
悪気がないのは分かっていても、ふとその言葉に引っかかってしまう。
いけない。せっかく好きな人と遊べるんだから、今日だけはせめて笑顔でいなきゃ。
もうこれ以上、失敗を繰り返さないように。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。