朝の楽屋は、いつもより少しだけ騒がしかった。
ソファの真ん中に座っている大西流星の両脇を、まるで当然のように陣取っているのは西畑大吾と大橋和也だった。
距離が近い。とにかく近い。
そう言って和也が自分のパーカーを流星の肩にかけようとした、その瞬間。
大吾は流星の膝にふわっとブランケットを広げ、流星の手を自分の方に引き寄せる。
そう言いながらも、流星は抵抗する様子がほとんどない。むしろ少しだけ口元が緩んでいる。
二人のやり取りを、少し離れた場所から見ていた丈一郎と恭平は、ほぼ同時にため息をついた。
流星はというと、二人に挟まれたままスマホをいじりつつ、時々ちらっと顔を上げては二人を見比べている。
その一言で、和也の表情が一気に明るくなる。
呆れたように言いながらも、流星は否定しない。むしろ少し照れたように視線を逸らす。
その様子を見た大吾が、すっと流星の方に体を寄せた。
一瞬、楽屋の空気が止まった。
勝ち誇ったように言う大吾に、和也がすぐさま被せる。
完全に子どもの言い合いになっている二人を見て、流星は小さく笑った。
その言葉に、二人は一瞬言葉を失う。
結局、どちらも引く気はないまま、収録現場に向かう時間になる。
移動中も、流星の左右はしっかりと確保されたままだ。
そう言いながらも、二人に守られるように歩く流星の表情は柔らかい。
収録が終わり、少し疲れた様子でソファに座り込んだ流星のもとに、また二人が集まる。
少し考えたあと、流星は小さく息を吐いた。
驚く二人に、流星は少し照れながら続ける。
その言葉に、二人は顔を見合わせてから、同時に笑った。
結局、流星の両肩を左右から揉むという、なんとも不思議な光景が出来上がる。
それを見た他のメンバーは、またかという顔で笑った。
流星は小さく目を閉じて、二人に身を委ねながら思う。
少し鬱陶しいけど、やっぱり嬉しい。
そんな気持ちは、今日も胸の奥にちゃんとあった。
















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。