一方
ICU。
北斗はまだ眠ったまま。
樹はベッドの横へ座る。
「……。」
静かな病室。
モニターだけが一定のリズムを刻む。
「お前。」
「目が覚めたら。」
「ちゃんと全部話してくれ。」
樹はそう呟く。
「俺たちはもう、『大丈夫』って言葉だけじゃ納得しないから。」
返事はない。
それでも樹は北斗の手を握ったまま離さなかった。
⸻
病院では、勤務記録や申請の流れなどについて正式な確認が進められていく。
現時点では「北斗が倒れた翌日からその看護師が休んでい
る」という事実は気になる状況ではあったものの、それだ
けで何かを断定することはできない。
だからこそ病院は、憶測ではなく、記録や関係者への聞き
取りをもとに、一つひとつ事実を確認していくことになっ
た。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!