部室らしき小屋には鍵がかかっていた。のりかは壁に足をかけ、強引にドアを引いた。
氷浦は校舎を見渡して言う。
剛陣も初めての東京に浮かれていた。
小僧丸がボソッと言う。
剛陣が
と突っかかる。それを岩戸がまぁまぁとなだめている。
騒がしい集団。しかも私服。彼らは校内でものすごく目立っていた。
在校生が遠巻きに話していた。
直接、明日人たちに話しかけてくる生徒もいた。女子の集団だ。
中心にいる、一番上品そうな感じの生徒が口を開いた。
剛陣が問い返すと、杏奈を取り巻く女子たちが、上から目線で次々にしゃべり出した。
一度は言い返した明日人だが、思わず
と聞き返していた。
杏奈が後を引き取る。
奥入が解説する。
明日人は胸を張る。女子たちは困ったような顔でクスクスと笑った。
杏奈たちは歩き去った。
剛陣が吐き出す。
奥入にそう言われると、
と剛陣も納得した。
と、そこへ、また別の声が近づいてきた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。