広場の中心らひんやりしていて、あの空間の熱気とは別世界みたいだった。
ミンスさんと話してた余韻が、
まだ胸の奥に残ってる。
でも、それはすぐに、もっと冷たいものにかき消された
その声が背後から落ちてきたとき、私は一瞬だけ息を止めた。
ナムギュさん。さっきまで姿が見えなかったのに。
ゆっくり振り返ると、彼の顔が近かった。
いつもと同じ顔なのに、
目だけが違う。
怒ってる、いや
――焦ってる。
私の言葉を遮るように、鋭い声が飛ぶ。
でもその鋭さの奥に、どこか脆さがあった。
その言葉の瞬間、ぐっと右手を掴まれた。
細い手首に彼の指が食い込む。
ちいさく、鈍い痛み。いや、それよりも――熱い。
触れそうな距離で、彼はじっと、私を見下ろしていた。
睨んでるようにも見えたけど、
それは違った。
必死だった。
喉の奥に何かを押し込めてる顔だった。
言葉が震えていた。
言葉を吐き出すたび、掴まれた手首にぐっと力が入る。
自嘲するように笑ったナムギュさんは、
まるで自分を殴ってるみたいな顔していた。
その声は、狂気と、愛と、怖がりの全部がごちゃまぜになっていた。
そう言ったナムギュさんの瞳は、どこまでもまっすぐで、どこまでも弱かった。
私は、ゆっくりとナムギュさんの頬に手を添える。
指先が触れた瞬間、彼はびくっと小さく肩を揺らしたけれど――
逃げなかった。
そうつぶやくと、彼の眉がピクリと動いた。
低く、ぶっきらぼうにそう返してくるナムギュさん。
でも、私の手に触れているその頬が、
うっすら赤くなっているのは隠せなかった。
そう笑ってみせると、ナムギュさんは目を逸らして、小さく吐き捨てた。
照れ隠し。
そうとしか思えないほど、耳まで真っ赤だった。
そんなところも、やっぱり可愛いなって思ってしまう。
壊してしまいたいほどに不安になるくらい、
私のことを強く思ってくれる人なんだって、
……私には、それが、ちょっと嬉しい。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。